第14話長崎


 「お前フラレたってか? 

 幼なじみの‥

 えっと‥何だっけ?」


大夢はTVのリモコンをプチプチ

おしながらゴロゴロダラーリと

した口調でこたえる。


「ああ、逃げられた。笑え

お前こそ~、何で一人?


新しいカノジョは?

ばあちゃんが見つけてくれたって?

名前何だっけぇ!! 

えっと‥???もう振られた・・・

か?」




「ふふふーん。結菜は俺に惚れちゃ

ってる からな~。お前とちげーし。

ヨシ‼

大夢!久しぶりに飲みにいくか?

女の子呼ぶか?

元気出せ‼ いや出させてやる。」



「は?!お前さぁやめとけよ。

まだ浮気癖なおんねーのかよ。

実は、長崎じゃなくて試されてっ

かもだぞ。

いいのか?外見てみろ!

婆ちゃんのお付きの見張り男が

いるぞ!」


「マジか?」


慌てて光寿郎はカーテンをあけ

ビビりながら外を見ている。


大夢は舌をべーとだしながら

二ヒヒと笑った。


ピコーン


「おつ、結菜だ。なんだこれ

メッチャメチャ、 カワイ~イ?」


「ユッキーとユイ」

結菜は豚鼻とウサギ耳にネコヒゲ

雪菜は豚鼻と猫耳にネコヒゲ


「な!!な、ユイとユッキー

どっちカワイ~イ?」


ニマニマしつつ、大夢にムリヤリ

見せる光寿郎の腕をはねのけながらも仕方なく眺めながら、



「は!! 同じ顔に見えるしかも

加工してあ んじ ゃん、んなの

ワカルケーエ、目デカ、

耳ついてんじゃん。」


大夢は興味なさげに冷たく応えた。


しかし光寿郎よ

お前ちったぁ気つかえや。


カノジョに逃げられた俺の気にも

なれや!!


と、ぶん殴りたかったが、光寿郎が

初めて好きになった女だ!なんか幸

せそうだな、しかも結菜って俺を

イジメてるのか?

雪菜と一字違いじゃねーかよ。



余程嬉しいんだろうな。

本気の彼女か・・・。

楽しそうなんでほうっておいた。



俺たちも送ろーぜ。


大夢をバカボンのパパふうに

おれ光寿郎もおそろいだ

送信ピッ


ピコ~ン。

「おっ見ろょ。ユイとコツキーの

 キスチユーだ。」


「は?なんだそりゃ?」


 画面いっぱいに唇チユーの写メ

「どっちがユイ?」

 ときてる。


光寿郎の奴、真剣に悩んでやんの。


何だよ!アホくさ!!

結局バカップル!!


フウ~

「ユッキーいいとこだね~

夜景最高!!」 


結菜は、ベランダから目の前に

広がる夜景を見ながらノンアルコールの酎ハイを飲みながら小さい声で叫んだ。



雪菜は風呂上がりの髪をとかしながら

「私ね!この夜景を見て長崎に住もう

って決めたんだ。」


ヘエ

「ユッキーってどこに住んでいたの?」


「あ、う、うん・・・東京。」

結菜は目をパチクリして止まった。


「びっくり?」

雪菜は結菜をみあげながら

小さく笑った。


ウンウンと頷く結菜に

懺悔するように重い口を開いた。


「実はね、彼氏は居ないんだ。」


またまた目をパチクリさせている

結菜に


「彼氏と喧嘩したまま転勤に

なったけど社長に呼び出されて、

転勤は建て前で本当は、辞めて

欲しいと言われたんだ。


 理由は言われなかったけど、

 彼氏の事が

 引き金って分かった。

 正確には元カレ。」


それから結菜に今迄の事を話

あやまった。


「え~それヒドイ!! 彼氏に言わな

かったの ?」


「喧嘩した後だったから、でも

その夜、会いに行ったけど、

怒っちゃってて、顔も

見てくれないし。」


「彼氏を好きな人がいてね。

 大きな会社のお嬢様でね、

そこの会長が彼氏を気に入って

婿養子にしたいから

 別れてくれって

 8ケタくれるって言うの。」


「もらったの?」


「まさかぁ、彼氏を売るなんて

しないよ。

 だから、私を飛ばしたのよ。!!

 お金で動かないと思ったんだと思

う。」


「はぁ、酷い。」



「一応一回は福岡支店に行けと

言われた。自主退職の流れだよ。

福岡で会社辞めれば

東京本社の責任は無いからね。


だけど行かなかった。来たバスに、

飛び乗ったら長崎行きだった。

アハハハハハハ」


「・・・・・」


「もういいや。利用されるのは

馬鹿らしくてと思って、降りたら

此処だった。」


一日中ぼーっとしてたらいつの

間にか夜になってて、そのまま

ホテルに泊まったんだ。


そこでみたのがこの夜景だった。 

海の潮の匂いも好き。


そしたら涙止まんなくて、


今まで彼氏に大事にされてたんだ

なぁって今日から一人だなぁって、

寂しくて寂しくて

でも、愛されてたのが‥分かったから。


だから、今度は彼の夢を応援しなきゃと思ったの、彼のゆめは金持ちになって日本を回すんだって・・・

婿養子バンザイダヨ。


でもね、諦めたら人間強くなるよ、

自分一人で自分養わないとだめでしよ。

泣いてる暇ないし。」


雪菜は話終えた時フッと顔をあげると結菜が涙をポロポロ流して

泣いていた。


ウグッウグッううう

   ポロポロ、ポロポロ


「チョツ、チョッまってよユイ、

な,!なんで泣いちゃうの?

ゴメン、ゴメンってばあ

ー 。」

雪菜の方がジタバタ結菜を

泣き止ませるのに必死‼



「だぁっでーユッキー」


ピロロ、ピロロ結菜の携帯の呼び

出し音が響いた。


「ばい、ゴオジュ、ウグッなんがー

用? ウグッ」


「 """ど、ど、どどしたぁ》》》》

なんかあったか?

ユイ!! ユイ!!。ユイ!!」


「ウグッ、ゴゴジユロー会いだーい。ゴゴジユロー浮気ずんなー」


「ししてねーよ。」


 横から大夢が


「さっき、なんてったっけな 

 女の子 ウグッグワツ。」

慌てて大夢の 口 を塞ぐ。



「黙れ!!!」


ギロりと睨まれ大夢はひるんでしま

った。


 口を、押さえられウンウンと頷く。

「ゴゴジユロー、好きだからズキ

だがらぁ」


「へ、今更?」


今度はニヤニヤしながら、大夢の頭をグルングルン撫で回す。😵💦


「もしもし雪菜です。すみません

 私の元カレの話したら泣いて

しまって、はい。部屋にいますよ。


大丈夫です


え‼

明日、迎えに来ます?

良いですよ。夕方? 分かり

ました。」


光寿郎が電話を切ると、なぜか頭

ぐしゃぐしゃの疲れまくった大夢

がいた。


スマホのボタンを押しながら雪菜は

結菜を見上げながら笑った。


「ユイ、愛されてんね!! 羨ましい。

明日迎えに来るってよ。今日は

我慢して 寝よう。」


「ヤダァ、ユッキーの話聞いたら

私まで、寂しくてゴメン、もう

大丈夫!!明日は食べ歩き宜しく。」


「ウンウン、私もあまり知らない

から頼りないけどね。」


そう長崎に来て観光なんてしなかった。

1人でって、のも寂しい。

しかし明日は結菜がいっしょ。

久しぶりの楽しみ感。



朝目が覚めると、結菜は散歩に行っ

たみたいで、ベッドには雪菜

一人だった。


結菜が帰る前に紅茶の

お湯を沸かす。



ゆで玉子をフォークでつぶす。

こんがり焼いたパンに、マヨネーズ

の中にワサビを香りがたつ

くらいに混ぜパンに塗るレタスと

玉子とハムを挟みカットする。


もう一つは、キューリを薄く切り、

つぶした玉子と一緒に、挟む、


あとはコーンスープを用意する。


出来上がった項、結菜が沢山の

チューリップを抱え帰って来た。

🌷︎🌷︎


まだ蕾が固く緑色で何色か判らない

花もある。


「ふふふプレゼントだよ。」


「えええ、マジ!!ありがとう。」


「うん。」

結菜はそれから何も言わない。


二人で朝食を食べ観光した。

グラバー邸を見学して、出島にも行

った。

5ヶ月もいるのに何処にも行って

なかった・・・

旅行会社のユイの方が詳しくて笑った。



中華街で食べ歩きしてたらアッとゆ

うまに時間は過ぎて、光寿郎さんが

迎えに来る時間だった。




すると雪菜の携帯が震えた。


雪菜のケーキ屋さんとは別の

働き口の、カフェからだった。


「雪ちゃん、わるいけどお店

これない?

 人が足りなくて‥」


店長さんの申し訳無さそうな

低い声がした。


向こうから光寿郎さんともう一人

男性が歩いて来たのが見えた。

光寿郎さんと凄く仲好しに見える。


「ゴメン、ユイお店大変だって、

悪いんだけ ど、」


雪菜は目の位置でおがむように

手を合わせる。

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