第18話 目が覚めて

ふと目が覚めると部屋はまだ薄暗かった。隣には私を抱き締めて眠るエディングの姿。

布団の中を覗き込むと彼も私も裸のままだった。ただ汗を掻いていたのにベタつきが全くない。おそらくエディングが身体を拭いてくれたのだろう。

眠っている彼は起きている時よりずっと幼い顔をしていた。


「昨日しちゃったのよね…」


布団で覆い隠されているがおそらくシーツには私の破瓜の証がべったりとくっ付いているのだろう。

初夜を迎える前に聞いた話によると契りを交わした証拠として提出しなければいけないそうだ。

そう考えると恥ずかしさに顔が真っ赤になる。

あんなにいっぱい恥ずかしい声が出ると思わなかった…。

何度も何度も嬌声を出した。止めようとしても全然止められなくて恥ずかしくてたまらなかったのだ。

エディングは嬉しそうに聞いていたけど、その気持ちが全く理解出来ない。

火照った頬と渇いた喉を落ち着かせる為、水を飲もうと身を動かす。

その瞬間、股と腰に鈍い痛みが走った。


「いっ…!」


小さく漏れた声にエディングが目を覚ましてしまった。


「レイ、どうかしたのか?」


眠そうな声を出すエディングは目を擦りながら尋ねてくる。腰に回されていた手が抱き寄せてこようとすると痛みで悶えた。

彼の首元に顔を埋めて唸り声を上げていると覚醒したエディングが焦り出す。


「大丈夫か?どうした?」

「……痛い」

「は?」

「腰と、その、あそこが痛いんです!」


涙目になって見上げるとエディングは驚き、そして恥ずかしそうに顔を赤らめた。

痛みを和らげようとしてくれているのか腰を優しく撫でてくれる。


「無理をさせたな。すまない」

「い、いえ…」


腰を撫でてくれるのは有り難いけど昨日の名残かちょっとだけ感じてしまう。

微かに漏れる嬌声に大きな手がちょっとずつ下の方に向かっていく。

なに、してるの…。

まだ夜明け前だというのに彼の悪戯な指先が太腿を摩り、そのまま中心へ移動していく。

彼を見るとふっと意地悪な笑みを浮かべていた。

この人は…。

私を弄る指に爪を立てるとぴたりと動きを止めた。


「痛いぞ」

「エディが変な事をしようとするからです!」

「痛いと言うから撫でようとしただけだ」

「そこは撫でないでください!」


昨日散々愛されたせいで痛いのに気持ち良くなってしまうのだ。

意識した途端、中からどろりとしたものが大量に溢れ出た。

ひっと声を上げる私にエディングは「何かあったのか?」と首を傾げる。


「な、なんでも…ないです」

「そんな風には見えないぞ」

「…なにか…たくさん出てきて…」


布団を捲って確認しようとするエディングを止める為に恥ずかしさを偲んで答える。

彼は少しだけ考える素振りを見せた後「ああ…」と呟いた。


「私が出したものが溢れ出たのだな」

「へ?」


エディングが出した物?

一瞬なにを言われたのか理解出来なかった。

しかし知識だけは豊富な私はすぐにそれの正体が分かる。かぁっと頰が熱くなった。


「外に漏れた分は昨日ちゃんと拭いたんだけどな。中に残っていたのか」

「へ、平然と言わないでください!」

「叩くな。痛いぞ」


軍人なのだからひ弱な令嬢…ではなく妻に叩かれたところで痛くも痒くもないくせに。

彼の肩をぺちぺちと叩いていると抱き締められて押さえ込まれる。睨もうと彼を見上げると愛おしそうな表情を向けられていた。


「私を受け入れてくれてありがとう。無理をさせてすまなかった」

「い、いえ…」


到底文句を言える雰囲気じゃなかった。

俯く私の顔を上げさせて触れるだけのキスを落とした彼は頭を撫でてくる。心地良さに身を任せていると昨日の疲れが残っていたのだろう眠気がやってくる。


「まだ夜明け前だ。もう少し眠ると良い」


彼の言葉にぼんやりとした意識を手放した。

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