ISAO二巻SS 磯の香り
六祭礼の転職クエストがようやく終わったので、街の外にレジャーに出かけることにした。
目的は「磯釣り」だ!
クワドラの街は漁港だけど、隣接した場所に「磯釣り」スポットがオープンしている。これは行ってみるしかないよね!
《コースを選んで下さい》
現地の案内施設で入場チケット(レンタル釣具付き)を購入しようとしたら、こんな画面が表示された。コース? そこで改めて案内版をチェックすると。
【Aコース】リアルに近い環境で磯釣りができます。メジナ・イシダイ・クロダイなどが釣れます。
【Bコース】小舟に乗って沖磯へ移動。リアルに近い環境で磯釣りができます。
【Cコース】期間限定。ファンタジックな磯の釣りを楽しめます。何かが釣れます。
A・Bコースが普通の磯釣り。でもCは……何かが釣れますってなんだ? ファンタジー小説に出てくるような生き物が釣れるってことかな?
うーん、気になる。期間限定とあるし……うん、考えるより行ってみるか。
*
ISAOの作り込みはいつもその半端ないクオリティに感心するけど、この磯釣りスポットも実際の海岸を丸々コピーしてきたんじゃないかというくらい、臨場感があった。
海に突き出たゴツゴツとした岩場には、貝殻や藻が付着していて足場はよくない。ダメージ判定がノーカウントでなければ、転んだら怪我をしてしまいそうだ。
岩場に打ち寄せる波も荒々しくて、波の穏やかな堤防釣りとはかなり趣が異なる。
レンタルした長めの釣竿は、直ぐに釣れるように釣り糸・リール・おもり・ウキ・針などの仕掛が既にセットされていた。そして、どのコースでも初回はチュートリアル的なアナウンスが流れると言っていたが……まだかな?
《指定された場所に移動して下さい》
……来た。
この釣り場では、自由に好きな場所で釣ることもできるが、その日のお勧めの釣りポイントを予約席みたいに確保することもできる。今回はそれを頼んでみた。
着いた場所は、腰掛けやすいようにか岩が平らになっている箇所があり、足元も比較的起伏が少なくなっていた。さすが予約席。持ってきた道具類をそこに置いて、さぁ、磯釣りを開始だ!
《撒き餌を海に撒きます》
潮の流れる方向を見ながら、【Cコース】で配布された撒き餌を海面に投下。撒き餌が流れついた辺りに魚? が寄ってくるはずなので、そこを狙って仕掛を投げる。果たしてこれで一体何が釣れるのか?
おっ! 早速の引きだ。勢いよくウキが海中に引き込まれる。これは期待しちゃうぞ。タイミングを合わせて、リールを巻いていく。
ん? なんだ? やけに長くビロビロっとした……海草?
釣り上げたのは魚ではなくて、植物系モンスター「カボチャパンツ」。いや、どう見てもワカメに見えるんですけど。
続いて釣り上げたのは、ちゃんと魚……違う、これもモンスターみたいだ。食材系の。体長は40センチくらい。背中が黒っぽくて腹は銀白色で筋状の模様が何本も入っている。でも名前が「イガグリ頭」。
……おい、ネーミングがおかしくないか?
それからいろんなものを釣った。そして釣れたのはどれも食材系モンスターだった。
・丸っこいハリセンボンみたいに膨らんだ(でも刺は頭頂部に一本だけ)魚「バカモン!」
・大きな巻貝「ジャンケンポン!」
・赤っぽい魚卵の塊に見えるモンスター「ハーイ!」
・おそらく穴子だろう「ブアツイクチビル27サイ」
・桃色の鯛に似た「オミアイケッコン」
意味わかんないなぁ。どれもバラバラで、これといった統一性はない気がするし……運営の内輪受けのおふざけかな?
まあ、俺的には食材であれば文句はない。さて、どうやって料理しようかな?
「カボチャパンツ」は酢の物に。「イガグリ頭」は、タタキにして薬味をまぶして酢醤油なんかよさそう。
「ジャンケンポン!」はもちろん壺焼きだ。「バカモン!」は刺身か鍋。「オミアイケッコン」は蒸し焼きにしたら美味しそう。
「ハーイ!」「ブアツイクチビル27サイ」は……本当なら酢飯に合いそうなんだけど、なぜかまだISAOには米が実装されていない。だから、しばらくはアイテムボックスで寝かせておくかな。
神殿に戻って怪しげな食材モンスターを早速料理してみたら、味は全く問題なくて、どれもちゃんと美味しかった。期間限定だとあったから、ちょっとまとめて捕っておくか! でも普通の磯釣りコースにも行きたい。
しばらくは暇を見つけてここに通う感じかな! 磯釣り最高!
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