青いヘアピン
挫刹
一章 新しい家族
~新しい家族~
【ハーレムものはお好きですか?】
上座のソファーに母親の再婚相手となる母と同じ歳ほどの優男が腰かけている。
目の前にはこれから家族になる五人の姉妹。
自分のとなりには正装をした母が。
ここはその家族の家だった。
そして今はこれから新しい家族になるための初の顔合わせというわけだ。
だからなるべく今は必死に嫌そうな顔をしておくことに努めていた。もちろん表情も変えずにただひたすら険しい顔をし続けている。
逆に正面の姉妹たちは新しい家族の一員に興味津々の様子だった。
チラチラと目が合うのは自意識過剰か気のせいだと思いたい。
しばらく目を伏せたまま固まっているといままでそれぞれの自己紹介の音頭を執っていた相手の男から話を振られた。
「……で、これから食事に行こうと思うんだけどその前に質問はあるかな?」
この顔を見てまだ承服していないと受け取ったのか男は訊いてきた。
「……じゃあききますけど。ウチの両親が離婚した理由は知ってるんですよね?」
「もちろん」
男は笑って頷いた。
それをみて彼の五人娘を見る。
「それでも母と再婚するんですか?」
「もちろん」
母は諌めようとするが、男が笑顔で止めた。
「いいんだよ」
馴れ馴れしさを感じる会話だったが文句を言う筋合いはない。おそらくこんな会話を自分も目の前の子たちとしなくてはならなくなるのだから。
だからいまは頭を下げるしかなかった。
「わかりました。よろしくお願いします」
「よかった。それじゃお店に向かいながらこれからの予定や生活を話し合っていこうか」
男は膝を打って立ち上がる。
これから新しい生活が始まろうとしていた。
―次回予告―
母の再婚相手の家で新しい生活がはじまったが五人姉妹とはまだ一定の距離感をとったままでいた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます