作品全体がまるで宿命論的な無力感に包まれているようだった。ただキャラクターが自分の置かれた状況に抗えないというだけじゃなく、動物や昆虫の儚い命、そしてこの世界に存在する「変えられないもの」のすべてに、運命的な影が差しているように思えた。キャラクターの名前ですら、「無常を受け入れることを宿命づけられた存在」を象徴しているように感じたし、物語の中には世界の規範や道徳の境界を問い直すような視点が散りばめられている。
でも、これを「悲劇」と言い切ることはできるのだろうか?
登場人物それぞれの視点に立ってこの作品を見つめ直してみると、一概に「悲劇」とは言えないことに気づいた。
あるキャラクターにとっては悲劇だったかもしれない。でも、別のキャラクターにとっては、それが「選択」だったのかもしれない。あるいは、どのみち避けられない「必然」だったのかもしれない。
この作品でいちばん心を揺さぶられたのは、姉妹の関係だった。
人生がどれだけ苦しみに満ち、どれだけ悪意に晒されても、彼女たちはこの壊れかけた世界の中で、わずかに残る善意に手を伸ばし続けていた。その選択こそが、彼女たちが本当に「生きていた」証だと感じた。ただ消極的に耐え続けるのではなく、自分の意思で前に進もうとしていたからこそ、彼女たちの姿がまぶしく見えたんだと思う。そして、最終的な決断がどれだけ痛ましくても、それを「逃避」だとは思えなかった。むしろ、痛みを真正面から理解したからこその答えだったんじゃないかと思う。
最後に、この作品は問いかける。「普通」という概念は、私たちをどこまで縛り続けるのか?
面白い作品というのは、読み終えた後に考えさせられるものだ。この作品もまさにそうだった。
だからこそ、ぜひこの痛みを抱えながら、姉妹百合を堪能してほしい。