第11話 栄養剤を作ろう

「『栄養剤』は、植物の葉と水と魔力草を混ぜて作る」


『錬金術入門』に書いてあったレシピだ。適当すぎるったら無い。

 と一人思いながらも、『植物の葉』はきっと『栄養のある葉』なのかもしれない。


 私は、屋敷の裏にある小さな森で、色々探してみることにした。手には小さな採取用のカゴを持っていく。

 植物を探していたら、【鑑定】の項目が増えていた。詳細の内容も少し詳しくなっているし。レベルが上がったからかな。

 それにしても、ここはイキイキした良質の草が多い。やっぱり森の土は栄養にとんでいるのかしら。


【プレーン草】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:普通の草。あまり栄養はない。イキイキしている。


【ねじねじ草】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:普通の草花。あまり栄養はない。イキイキしている。


【鈴草】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:普通の草花。あまり栄養はない。根に毒がある。イキイキしている。


【ロアエ】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:薬草としても使える。栄養はない。イキイキしている。


【グリーンリーフ】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:栄養があり、動物が好んで食べる。イキイキしている。


【百日草】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:栄養があり、花は長く持つ。イキイキしている。


【魔力草】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:魔力があり、薬剤の元に使われる。イキイキしている。


【癒し草】

 分類:植物類

 品質:良質

 詳細:栄養があり、薬効成分に富む。イキイキしている。


 あれ、癒し草と魔力草が自生してたよ。しかも店のものより品質がいいわ。これは材料に採取しよう。

 あとは、ここに生えているのだと、グリーンリーフと百日草かなあ。


 私はこの四種類の植物を持って帰ることにした。


 ◆


 ケイトを伴って実験室に入る。

 うーん、これは分量の割合も書いてないなあ。

 仕方ないので、ポーションと同じ分量、植物類と魔力草と水を、2:1:2で行くことにする。


 まずはグリーンリーフかな。

 グリーンリーフと魔力草をみじん切りにして、蒸留水に入れる。

 そして、魔法具の加熱器の上にビーカーを乗せて、加熱し始めた。

 ビーカーの周りに気泡ができて、小さな気泡が付き始めた。


【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:普通 ーー

 詳細:有効成分は薄め。


 もう少したつと、気泡が大きくなってきた。


【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:普通 ー

 詳細:有効成分はやや薄め。少し苦い。


 さらに経つと、時々ポコポコし始めた。


【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:普通 微ー

 詳細:素材の有効成分は十分抽出されているが、少し不足する成分がある。しかも苦い。


 ……あれ、不足する成分ってなんだろう。この植物だけじゃ足らないってことかなあ?


 そして沸騰し始める。


【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:低品質 +

 詳細:有効成分が一部失われている。苦味は薄れている。


 次は沸騰以降は要らないかな。



 じゃあ次は、グリーンリーフに百日草を混ぜてみましょうか。


 グリーンリーフと百日草、魔力草を下処理してからみじん切りにして、蒸留水に入れる。

 そして、魔法具の加熱器の上にビーカーを乗せて、加熱し始めた。

 しばらく経つと、時々ポコポコし始めた。


【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:普通 微ー

 詳細:素材の有効成分は十分抽出されているが、不足する成分がある。


 ……あれ、不足する成分ってなんだろう。まだこの植物だけじゃ足らないってことかなあ?


 そして沸騰し始める前に加熱魔道具を止めた。


 うーん。ビーカーを前に机の上に顎を乗せてビーカー内を覗き込む。

 ひとまず新しいビーカーを二個出してきて、できた液体を三等分にした。


 ①ひとつはそのまま。

 ②ただぐるぐるとかき回してみた。

 ③魔力を込めてかき回してみた(錬金発酵?)。


 ②は変わらず。

【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:普通 微ー

 詳細:素材の有効成分は十分抽出されているが、不足する成分がある。


 ③をやろうとしたら、魔力が多すぎたらしく激しく光って爆発した。

 この間作った普通のポーションでガラスで切った傷を治したから問題ないのに、ケイトに怒られた。ケイトは怒りながらも割れたガラス器具を片付けてくれた。


 ちなみに、出来たものは『産業廃棄物』に変わっていた……。


【産業廃棄物】

 分類:ごみ

 品質:役立たず

 詳細:捨てるしかない。とにかく不用品。


 ③再度→残しておいた①を使って、こめる魔力を抑えてかきまわした。ガラスを片付けているケイトが気づかないうちにササッと隠れてやった。……すると、液体がキラキラ光って、栄養剤の成分が変質した!


【栄養剤】

 分類:薬品

 品質:良質

 詳細:有効成分が揃っている。


「ケイト!できたわ!」

「えっ!」

 ケイトがガラスを片して部屋の外に出してから、ビーカーを覗き込む。

「一時はどうなるかと思いましたが……良かったですね」


 でも、にっこり笑って、言われてしまった。

「爆発のことは旦那様と奥様にご報告しておきますね」


 私がその晩、注意してやるようにと両親に叱られたことは言うまでもない。


 ちなみに、余った良質の癒し草と魔力草を使ってポーションを作ったら、良質なポーションも出来た!やっぱり素材の品質も大切らしい!


【ポーション】

 分類:薬品

 品質:良質

 詳細:有効成分は十分。若干甘味を感じる。少し容態の悪い人まで回復できる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る