第15話 遠足1
今日、子供たちは丸壁前の広場に集まっている。エルネクの両親とアグナスさんも一緒だ。
「どこに行くんだろう」
ラグレンがいう。楽しそうだ。
「ここの外に出るんだよね」
カルラも笑顔だ。
「楽しみ」
「街の外って初めて」
「どんなところなんだろう」
4人は丸壁を見上げる。今日は丸壁にくっついている建物から外に出るのだ。
「水着持ってきた?」
カルラがみんなにたずねる。
「うん」
「もちろん」
3人はそう答えると肩にかけた鞄を示す。今日は水泳できるところに行くと聞いている。
「川じゃないところで泳ぐそうだよ」
4人はあれこれと話す。みんな泳ぐのは大好きだが、なによりもこの街の外に行くことを楽しみにしている。
「みんなそろったね」
アグナスさんが子供たちに向かって呼びかける。
「水着は持ってきたかな」
「はい」
4人は元気よく返事する。
「それじゃあ行こうか」
そういうと、アグナスさんは建物に向かって歩き出す。扉の前に立つとドアが開く。
「ここに入るの初めてだ」
「うん。どきどきするね」
中は明るく、廊下が続いている。
廊下を進むとちょっと広いところに出る。ドアのようなものが向かい合って二つ全部で4つあり、その内ひとつのドアが開く。中は小さな部屋で、壁と床に手すりのような棒がある。
「さあみんな中に入って」
先に入ったエルネクの父がみんなに声をかける。4人は小さな部屋に入る。
最後にエルネクの父が入る。
「手すりにつかまって、足はこうやって床のここに引っ掛けて」
そういうとアグナスさんが足を床に並ぶ手すりのような棒に引っ掛ける。
「こんな感じだよ」
4人も見よう見まねで足を引っかける。
ドアが閉まる。4人は顔を見合わせる。みんな何が始まるのだろうと期待している。
「動くよ」
4人はしっかりと手すりをつかむ。
足の裏に下から上に押すような力が少しかかる。
「上にあがってる?」
「そんな感じだ」
「そうだよ。これはエレベーターといって上下に移動するときに使う乗り物なんだ」
アグナスさんが説明する。
「へー」
みんな上を見るがエレベーターの天井が見えるだけだ。
「もうすぐ到着するするから、足をしっかりと床の棒に引っ掛けておくんだよ」
「はい」
エレベーターの速度が落ちるにつれて床の棒に引っ掛けている足の甲に力がかかってくる。足も少し浮き上がる。
「あれ、体が浮き上がる?」
「ほんとだ」
「足が床から離れてる」
「なにこれ」
4人は今までに経験したことのない感覚に驚いている。
「そろそろ止まるよ」
アグナスさんがそういうと、足の甲にかかる力がじょじょに小さくなってくる。
「降りるときはこっち側」
エルネクの母が乗った時と反対側を示す。。
エレベーターが停止すると、浮き上がっていた足がゆっくりと床に戻る。
乗った時とは反対側の扉が開く。エレベータに乗った時と同じようなつくりの部屋がみえる。
「じゃあ、外に出て。ゆっくり歩いて」
アグナスさんがいう。
「あれ、なんか体が軽い」
ラグレンが驚いたようにいう。
「ほんとだ」
「鞄も軽い」
「なんか変な感じ」
「ここでは飛び上がったりしないようにね」
エルネクの母が注意する。
「それと、急に走り出さないように」
アグナスも子供たちに注意する。
「はい」
「あれ? ここの廊下はちょっと曲がってるよね」
エレナが廊下の床を指さしながらいう。
「ほんとだ。平らじゃない」
「小さな円筒の中にいるみたいだ」
「今度はこっちだよ」
そういうとアグナスさんは先に廊下を進んでいく。
「この扉の向こうには」
そういいながら大きな扉の前に立つと、扉が左右に開き始める。
「まぶしい」
4人は手を目の前にもっていったり目を細めたりする。
扉を通り抜けると、そこに広がるのは円筒形に広がる水。
「わあ」
「なにこれー」
「ぜんぶ水だ
「水がぐるっと一周してる」
「ここはプールといって、水泳をするための場所なんだよ」
エルネクの父が説明する。
「すごい」
「楽しみ」
「ここの直径はどのくらいかな」
「ここの直径は20メートルだよ」
アグナスさんが笑顔で説明する。
「プールの奥行は50メートル、プールの手前に20メートルくらいの幅の広場があるのと、丸壁側にも2メートルくらいの通路があるから、この円筒の奥行きは全体ではだいたい70メートルちょっとかな」
「へー」
「直径20メートルということは、街の6分の1だね」
カルラが暗算する。
「じゃあ入ろうか」
そういうとプールに向かって歩き始める。
扉を通り抜けると、プール手前の広場に出る。みんな周りを見回す。プールの水が円筒の内側をぐるっと一周満たしている。4人が住んでる街では、川の淵か公園の池がもっとも大きい水たまりなので、こんなたくさんの水を見るのはみんな初めてだ。今日、子供たちは丸壁前の広場に集まっている。エルネクの両親とアグナスさんも一緒だ。
「どこに行くんだろう」
ラグレンがいう。楽しそうだ。
「ここの外に出るんだよね」
カルラも笑顔だ。
「楽しみ」
「街の外って初めて」
「どんなところなんだろう」
4人は丸壁を見上げる。今日は丸壁にくっついている建物から外に出るのだ。
「水着持ってきた?」
カルラがみんなにたずねる。
「うん」
「もちろん」
3人はそう答えると肩にかけた鞄を示す。今日は水泳できるところに行くと聞いている。
「川じゃないところで泳ぐそうだよ」
4人はあれこれと話す。みんな泳ぐのは大好きだが、なによりもこの街の外に行くことを楽しみにしている。
「みんなそろったね」
アグナスさんが子供たちに向かって呼びかける。
「水着は持ってきたかな」
「はい」
4人は元気よく返事する。
「それじゃあ行こうか」
そういうと、アグナスさんは建物に向かって歩き出す。扉の前に立つとドアが開く。
「ここに入るの初めてだ」
「うん。どきどきするね」
中は明るく、廊下が続いている。
廊下を進むとちょっと広いところに出る。ドアのようなものが向かい合って二つ全部で4つあり、その内ひとつのドアが開く。中は小さな部屋で、壁と床に手すりのような棒がある。
「さあみんな中に入って」
先に入ったエルネクの父がみんなに声をかける。4人は小さな部屋に入る。
最後にエルネクの父が入る。
「手すりにつかまって、足はこうやって床のここに引っ掛けて」
そういうとアグナスさんが足を床に並ぶ手すりのような棒に引っ掛ける。
「こんな感じだよ」
4人も見よう見まねで足を引っかける。
ドアが閉まる。4人は顔を見合わせる。みんな何が始まるのだろうと期待している。
「動くよ」
4人はしっかりと手すりをつかむ。
足の裏に下から上に押すような力が少しかかる。
「上にあがってる?」
「そんな感じだ」
「そうだよ。これはエレベーターといって上下に移動するときに使う乗り物なんだ」
アグナスさんが説明する。
「へー」
みんな上を見るがエレベーターの天井が見えるだけだ。
「もうすぐ到着するするから、足をしっかりと床の棒に引っ掛けておくんだよ」
「はい」
エレベーターの速度が落ちるにつれて床の棒に引っ掛けている足の甲に力がかかってくる。足も少し浮き上がる。
「あれ、体が浮き上がる?」
「ほんとだ」
「足が床から離れてる」
「なにこれ」
4人は今までに経験したことのない感覚に驚いている。
「そろそろ止まるよ」
アグナスさんがそういうと、足の甲にかかる力がじょじょに小さくなってくる。
「降りるときはこっち側」
エルネクの母が乗った時と反対側を示す。。
エレベーターが停止すると、浮き上がっていた足がゆっくりと床に戻る。
乗った時とは反対側の扉が開く。エレベータに乗った時と同じようなつくりの部屋がみえる。
「じゃあ、外に出て。ゆっくり歩いて」
アグナスさんがいう。
「あれ、なんか体が軽い」
ラグレンが驚いたようにいう。
「ほんとだ」
「鞄も軽い」
「なんか変な感じ」
「ここでは飛び上がったりしないようにね」
エルネクの母が注意する。
「それと、急に走り出さないように」
アグナスも子供たちに注意する。
「はい」
「あれ? ここの廊下はちょっと曲がってるよね」
エレナが廊下の床を指さしながらいう。
「ほんとだ。平らじゃない」
「小さな円筒の中にいるみたいだ」
「今度はこっちだよ」
そういうとアグナスさんは先に廊下を進んでいく。
「この扉の向こうには」
そういいながら大きな扉の前に立つと、扉が左右に開き始める。
「まぶしい」
4人は手を目の前にもっていったり目を細めたりする。
扉を通り抜けると、そこに広がるのは円筒形に広がる水。
「わあ」
「なにこれー」
「ぜんぶ水だ
「水がぐるっと一周してる」
「ここはプールといって、水泳をするための場所なんだよ」
エルネクの父が説明する。
「すごい」
「楽しみ」
「ここの直径はどのくらいかな」
「ここの直径は20メートルだよ」
アグナスさんが笑顔で説明する。
「プールの奥行は50メートル、プールの手前に20メートルくらいの幅の広場があるのと、丸壁側にも2メートルくらいの通路があるから、この円筒の奥行きは全体ではだいたい70メートルちょっとかな」
「へー」
「直径20メートルということは、街の6分の1だね」
カルラが暗算する。
「じゃあ入ろうか」
そういうとプールに向かって歩き始める。
扉を通り抜けると、プール手前の広場に出る。みんな周りを見回す。プールの水が円筒の内側をぐるっと一周満たしている。4人が住んでる街では、川の淵か公園の池がもっとも大きい水たまりなので、こんなたくさんの水を見るのはみんな初めてだ。
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