第7話 測る6
「川の手前まで測って、そこから自転車を持ち上げて橋を渡って川の反対側まで持ってって、そこから測ればいいんじゃないかな」
エレナが提案する。さっき、メーターが動かないよう自転車を持ち上げて動かしたのと同じやり方だ。
「それがよさそうだね。これなら川に入らなくてもいいよ」
エルネクがカルラの方を見ながらいう。
「4人いるから、自転車を二人で持てば簡単だよ」
ラグレンも賛成する。
「川の幅はメジャーで測れるかな」
ラグレンが自転車のかごにはいっているメジャーを手に取る。
「どうだろう。5メートルもなさそうだよね」
エルネクが川をながめる。
「だったらメジャーで測れるね」
ラグレンがメジャーを少し引き出す。
4人は川のすぐ手前に到着する。
川はちょっとした段差の下にある。段差手前で自転車を止め、川の様子を見る。
川の両側には石ころが敷き詰められている。
「この河原も含めて幅を測らないとね」
「先に自転車を向こうにもっていこうよ」
「いいよ」
ラグレンの自転車の後輪をカルラが持ち、エレナのはエルネクが手伝う。
4人は10メートルほど離れた橋を渡り、丸壁の近くまで自転車を運んでくる。
自転車を進行方向に向けて、地面に倒す。
「ぼくが反対側に行くよ」
そういうとラグレンはメジャーを手に橋に向かって走り始める。
橋を渡り川の反対側に到着すると、メジャーを伸ばして端っこを丸めて川の反対側に投げるが、川の真ん中あたりまでしか届かない。
「届かないか。もう一回やる」
そういうとラグレンはメジャーを引っ張る。
「5メートル全部引き出して、ものさしの帯じゃなくてケースの方を投げるのがいいんじゃないかな」
エレナがラグレンに呼びかける。
「あ、そうだね」
ラグレンはメジャーの帯を回収すると、5メートルすべて引っ張り出す。
「行くよー」
そういうとラグレンはメジャーのケースを投げる。
エルネクが川の手前ぎりぎりでケースをキャッチする。
「じゃあ測るよ。このあたりかな」
メジャーの端を、石ころのある河原と草が生えている地面の境目に手で抑える。
「4メートル55センチだ」
メモリを見ていたカルラがいう。
「わりとぎりぎだったね」
「こっちに戻して」
エルネクがラグレンにメジャーのケースを投げて返す。
キャッチしたラグレンがメジャーを巻き取り始める。
「濡れたままだけど大丈夫かな」
「引き出したままで乾かした方がいいかも」
エルネクが提案する。
「それじゃあ、巻き取らないで乾かすよ」
そういうとラグレンは巻き取るのをやめて軽く丸めて手に持ち、橋に向かって走り出す。
ラグレンが到着すると、自転車を起こし、濡れたメジャーをかごにいれて歩き始める。
「だいたい360メートルくらいのはずだからもうすぐだね」
「あと、最後は建物の幅を測って足せば完了」
「川の幅もね。4メートル55センチ」
ラグレンが付け足す。
「そうだったね」
「建物が見えてきた」
前を見上げると、木の枝の隙間から丸壁にくっついている建物の壁が見えてきた。
4人の歩く速度がちょっと早くなる。
「もう少しだ」
「とーちゃーく」
最後の数メートルはラグレンが早足で先に進んで先に建物に到着する。
「364メートル15センチ」
「こっちは363メートル50センチ」
「短いほうを計算に使うか」
「この建物はメジャーで測ればいいかな」
「そうだね。3回分ぐらいかな」
「建物の端で押さえてて」
そういうとラグレンはエルネクにメジャーの端を渡すと先に歩き出す。
「ここで5メートル」
エルネクはメジャーの端を持ち、ラグレンのいるところまで歩く。
5メートルのところにメジャーの端を合わせて地面に抑える。
ラグレンがもう一度メジャーを持ち先に進む。
「ここで10メートル」
エルネクがラグレンのところまで歩き、再度メジャーの端を抑える。
「15メートル。もうちょっとだ」
エルネクが位置に着くとラグレンが歩き出す。
「残りを測るよ」
建物の端のところにはエレナとカルラが先に着いている。
「2メートル85センチ」
「15と足して17メートル85センチ」
「363メートル50センチ足す17メートル85センチ足す4メートル55センチ」
エレナはタブレットに数字を書く。
「タブレットで計算機能を使えるよ」
「計算機能を使わなくても計算できるよ」
「まずセンチのところを足すと、50足す85で135、これに55を足すと、えーと190センチか」
「合ってる」
エレナが計算機能で計算している。
「メートルの方は、363に17メートルを足すと、380メートル」
「うん」
「380メートルに4メートルを足すと384メートル、さっきのが190センチだから足しと385メートル90センチ」
「後は、385メートル90センチを3.14で割る」
「今度はちょっと難しいな」
「えーと、3でわかるとだいたい120くらいになるはずだから、まず100の位は1で10のところは2。これで差を計算して、次に三桁目も2になるのかな。次は8かな。まだ割り切れなくて次は9か」
「大体122メートル89センチくらい」
「その続きは8になるから、そうだね122メートル90センチくらいだね」
「計算機能で計算すると、122.898089って続いて割り切れないな」
エレナがタブレットの画面を指さす。
「分度器の方は122メートル18センチだから、近い高さになったね」
「だいたい122メートルくらいってことだね」
4人は真上の地面を見上げる。
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