Hayaoh!
K助
第1話 ハヤト
ある村にハヤトという名の若者が住んでいました。
ハヤトは、小さな畑で野菜をつくりながら一人で暮らしていました。
「よし、今日はこれくらいでいいだろう。いつものところに行こう」
ハヤトは、畑仕事が終わると、村のはずれにある丘の上にやってきて、そこに寝転んで空を眺めているのでした。
「空は広いなあ。僕も鳥みたいにあの空を自由に飛びまわれたらどんなに楽しいだろう」
ハヤトはいつもそんな風に思っていました。
ある日、畑仕事を終えたハヤトは、いつものように丘の上にやってきました。すると、丘の上におじいさんがひとり座っていました。
そのおじいさんは、村の長老さんでした。
「長老さん、こんにちは」
「おや、君は確かハヤトくんだね。こんにちは」
「長老さん、ここで何をしているのですか?」
「今日は隣の町にちょっとした用事があっての、今は村へ帰る途中で、ここで少し休んでいたところじゃよ」
「そうなんですか」
「君はここに何しにきたのかね?」
「私は、畑仕事が終わるとこの丘にきて空を眺めているのです」
「ほおー」
「あの空を眺めながらいつも思うのです。僕も鳥みたいに飛べたらなって」
「ハヤトくん、この世界には飛行機というものがあるのを知っているかね?」
「ヒコウキ?」
「そう、飛行機に乗れば、人間も空を自由にとべるそうじゃよ」
「ほんとうですか? そのヒコウキはどうやって空を飛ぶんですか?」
「わしも詳しいことは知らないのだけれど、隣町の図書館に行けば何か分かるかもしれんな」
「隣町の図書館ですか。分かりました。ありがとう、長老さん」
初めて耳にした〈ヒコウキ〉とういうその言葉の響きは、なぜかハヤトの心を大きく揺さぶるのでした。
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