香る夏

香川 香薫

プロローグ

暑い、暑い、熱いあの夏の日。



張り裂けそうなほど鼓動が激しい心臓。



額に汗を浮かばせ、手をギュッと握りこむ。



隣にいる彼女は僕の気持ちなんて知らず、笑顔で「この向日葵畑綺麗だね」と笑っていた。



太陽のように眩しいその笑顔。



純白のワンピースに身を包み向日葵畑の中を駆け回る。



僕はそんな彼女を見つめながら、心を落ち着かせる。



大きく「すぅー」と息を吸い込み、彼女にこう言ったんだ。





「あなたのことがずっと昔から好きでした」






そう確かに言った。




僕は一生忘れることが出来ないだろう。



その時の彼女の顔、あの向日葵畑での出来事を。

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