結果の見えていることに挑む者を、勇者と呼びます。
こんなテーマを書こうとした作者さんもまた、十分に勇者と言えるでしょう。
内容には経験を基にした部分が感じられないので、凡庸な良い子ちゃんレポという第一印象(システム1)があります。しかし実は、落ち着いて、ソースを明示し、偏らず、誠実に語ることは、このようなテーマにおいては逆説的に極めてユニークであると言えるのです。さながら、オーソドックスなラーメンのように。
なぜなら、ネットには右だろうが左だろうが攻撃的なテキストがあふれていて、それゆえにそれらは真に凡庸であるからです。自省……
もしかしたら作者さんは、差別を語ることなく差別の根源を語るという挑戦をしたのかも知れません。
差別がなぜあるのかという考え方のまとめを知りたいかたと、ある種の論客にヘキエキしているかたにお勧め。
6読/6完にてレビュー。
若き勇者よ、剣を捨て知を持って立ちむかえ。
人の闇という、真の魔王に出会う、その日のために。