クリスマスフラワー


 (……いつもより景色が一段と明るく眩しいわ……朝なのか夜なのか、区別出来なくなるくらいにわね)


私はこんな爛々らんらんとしたもの、見た事が無かった

 まるで……別世界へ誘われたよう……

 反射して視えた自分の姿は真っ赤

 頭の上から爪先まで、赤いものを被せられたかのように

 幸いそうじゃない無事な所もあるけれど、私はこの毒々しい"赤"に少し気が引けていた

 自分で言うのも何だけど、注視されるほど華やかなのよ

 華やかなのだけど、それだったらもっと可憐で可愛らしい子も居る

 まるで、生まれてきたときから完璧でなんら遜色そんしょくまったく無いような子が

 私も初めはそうだったのかもしれない

 でも欠陥けっかんが見つかって、今の姿にされたのかもしれないとか、今更考えても仕方のないことを心の奥で思ってたりする

 でも、それでも……愛して欲しいと願っていた


 (あら、"また"この季節が来たのね……あと何回見られるかしら……そうじゃないわね、今それを考えるのはお門違いね。だって丁寧に丁寧に愛情を貰っているのだから、悔いなんてものはさらさらよ。今は心が温かくて仕方がない、ただそれだけね)


  私が見るものは、微笑ましい笑顔だけ

 ただ、それだけ


            メリークリスマス




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