六十六日目
六十六日目
雨上がり!
昨晩もジャバジャバ雨降ってたからどうなるか不安だったけど、なんとか無事に過ごせたよ。
でも外に出てちょっと絶句したよ。
辺り一面、水たまりみたいになってた。
どれくらい降ったんだろう。これ、何も考えずに低いところにテントを張ってたら流されてたんじゃないかな。
前日のうちに気付いて本当によかった。
太郎丸も無事だった。
馬って案外頑強な生物なんだね。
競馬とかの馬――サラブレットって言うんだっけ――はとにかく繊細で健康とか気をつけてあげないといけないって聞いたことあるけど、太郎丸はそうでもないみたい。
素人目線だけど、足とかサラブレットとかよりずっとしっかりしてるように見える。
馬の種類はわからないけれど、荷物運搬とかそういうこと用に品種改良されたタイプの馬なんじゃないかと思うよ。
さてこのまま出発! といきたいところなんだけど、テントびしゃびしゃに濡れたままなんだよね。
このまま畳んだらカビるってことくらい、私でもわかるよ。
どうしたものかな。
周囲は水たまり状態でたき火なんかできそうにない。
まあ上手い人ならこれでも火を熾したりできるのかもしれないけど、湿気った枝だとものすごく煙が出るんだよね。
そんな火で乾かしても今度は煙臭くなっちゃうし。
かといってテントが重たくなるくらいの水の量だ。
干したくらいでどうにかなるようにも思えない。困った。
小一時間ばかり悩んだけれど、どうしようもないものはどうしようもない。
広げたまま運ぶこともできないし、できたところで辺りは水浸しなんだからむしろ余計に濡れるだけだろう。
そんなわけで姫ニャンとがんばって水気を絞ってから太郎丸に積み込むことにしたよ。
あと、そうそう。冒険者の荷物の中にブラシを発見したから出発前に太郎丸のブラッシングをしてあげたよ。
これ、もっとマメにしてあげるものだったのかな。
引くくらい毛が抜けてびっくりしたよ。
もしかしたら生え替わりの季節なのかもしれないけど、どっちにしろもうちょっと小まめにやってあげよう。
でもなんというか思ったほど濡れてなかった。
乾きが早いのか、それとも馬の毛って水気を弾いたりするんだろうか。
とにかく、心配していたほど太郎丸はずぶ濡れじゃなかったよ。
そんなわけで太郎丸もリフレッシュしたところで旅を再開するよ。
地面はぬかるんでるというか水浸しだから、あまり速度は出せない。
太郎丸も進むの大変そうだから、小まめに休憩を挟まないとね。
異世界生活六十六日目。一時間くらい進んだら水没エリアを抜けられた。
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