序‐2

 帝国に伝わる二つの伝承。

 一つ目は【千年術師と千年女帝】の伝承。帝国の頂点に立ち続ける【千年術師】と【千年女帝】の二つの存在。千年もの間、帝国を手中に収め続けるその存在は、帝国にとって畏敬の象徴ともなった。

 元より帝国を収めていた女帝は、普通の女帝だった。だがある時より現れし術師に心を奪われ、禁忌とされている術式により二人は千年の存在となる。

 その存在は深き闇のようであり、他国はその闇を払う存在を願い続けている。


 その闇を払う存在が二つ目の【光の勇者と聖女】の伝承。

 帝国随一の教会に産まれた女児は、神に愛されし【聖女】とされる。その教会は男児ばかりが産まれる為に、女児の誕生は奇跡とされた。だからこその【聖女】なのだ。

 そして【聖女】が一定の年齢まで成長した時、その教会に現れる。神の代行者の云われる【光の勇者】が、現れるのだ。

 そして伝承として語り継がれる。【光の勇者】は【聖女】と共に、千年続く呪縛を解き放つと。だからこそ、その二つの存在の誕生を多くの人々は願い続けている。


 そして今、伝承は伝説となり、伝説は現実となる。

 教会に、産声が上がったのだ。その事実は帝国中に伝えられた。誕生した、奇跡とされる女児が。

 産まれたのだ、【聖女】が──

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