奴隷使いのクズ勇者

ルブブ

第1話転生した俺は勇者となり奴隷を買う

世界には善人、悪人、偽善者いろいろな人種がいる。

 言っておこう俺はこのうちどれにも当てはまらない、何故ならたとえ道迷いで困った小さな女の子が話しかけてきたとしても冷たい目を向けたり、仕事での自分のミスは全て部下のせいにするぐらいのクズ社会人だからだ。

何故そんなクズが生きていけるのだ?と思うかもしれないが俺はとっても良かったのだ、そう「運が」。



 俺はコンビニで買い物をしていつもの帰路についていた。家の玄関に入りドアを開けてリビングに入ろうとした。その時だった。


「ゴスッ」


頭に急な痛みが襲う。バットで誰かに殴られたのだ。


「ゴスッゴスッゴスッ」


何度もバットで殴られもう痛みを感じなくなっていった。


「クソッ、お前のせいで母さんは責任を感じて自殺したんだ」


声が聞こえた。見覚えのある声だった。視界がブレ一瞬顔が見えた。兄だった。

俺は趣味のパチンコで金を使うために母に闇金に追われているという項目で金を借りていた。そして払えなくなった母さんは責任を感じて自殺したという。

だがそれでも俺は少し驚くだけだった。


俺は気がついたら家ではない何処かにいた。不思議と痛みはない。あの世だろうか?。


「勇者の召喚に成功しました」


1人の奇妙な服を着た男が言った。


「我はこの国ファルムス王国の国王だ。お前らを他世界から勇者として召喚した張本人じゃ」


自分の姿を見ると見慣れないまるでアニメの勇者の様な格好をしていた。

どうやら俺は異世界に転生したらしい。しかも勇者だ。

なぜこんなに呑み込みがいいかって?それは俺がオタク兼中二病だからだ。

この厨二心を燻る展開に少し胸が高鳴る。

だが俺の周りに俺と同じ格好をした者が周りに2人いた。


「クソッ転生して勇者なら勇者は普通1人だろ」と思ったがもう声に出ていた。

「何を言ってるんですか?最近では勇者が複数いるケースもあるんですよ?」


もう1人の勇者が言った。

は?それで?それは小説、これはリアル(といっていいかわからんが、、、)だぞ?そんな展開例えば前世で読んでた小説投稿サイト「カク●ム」で出されていたら俺は読まんぞ?。そんな(王道じゃない)展開にイライラした。

チッと舌打ちをして俺は歩いて外に出ようとした。


「待て」


低い声が部屋に響きわたり。部屋が静まり返った。


「我は我が国のために勇者を召喚し魔王軍に打ち勝つためにお前らを召喚した。もちろん報酬額は保証しよう」


おそらくこの国の国王がそう言ったが俺にとってはどうでもいい話だった。


「で?何のために俺が協力しなきゃならないんだ?」


俺は親指を下げながら国王に向かって言った。


「元の世界に戻せ」


俺は怒鳴りつけた。周りの護衛らしき人たちが槍の刃先を向けてくる。


「それはできん。元の世界へは一生戻れん」


国王がワインらしき物を入れたグラスを傾けていった。

俺は正直気に食わなかった。現実に戻れないと言う悲しみよりも国王に対する怒りの方が大きかった。


「お前らにはこれから魔物を討伐して協力してレベル上げをしてもらい魔王軍に対抗するための戦力になってもらう。これは初回の報酬だこれで各自防具や武器を揃えてくれ」


衛兵が金貨や銀貨が入った袋を渡して来た。俺はその袋を奪い去る様にして取る。


「魔王討伐も全て俺1人でやってやる。討伐後の報酬だけでも用意しとけよな」


俺はそう言って王宮から出ようとした。


「待てよ」


と俺の前にさっきから黙っていた黒髪の男が言った。


「何だよ、お前勇者になったからってイキがるただのイキリか?」


と俺は煽るようにいった。


「イキがってんのはお前だろ?お前みたいな奴とは一緒に居たくない不愉快だ」


そう言うと相手も冷静に言い返してくる。


「はなから俺はお前らと協力する気はない失せろ目障りだ」


 と言って王宮の門を開けて廊下を歩き外に出た。

外は思ってたよりも華やか、、、では無く、こき使われる奴隷や町の通りで痩せ細り金を求めている者もいる。

 だが俺には関係の無い話だった。

俺には獣人や亜人がただの獣に見えたし街で動物がこき使われているだけだ、現世の馬とおんなじようなもんだと思ったからだ。

俺は武器屋で1番安いナイフを買って街の回覧板で西のすぐそこの草原で狩れるスライム討伐の依頼が貼ってあったので早速いった。まぁ転生前よく転生系アニメを見ていたからだいたいのことがわかっていた。



 草原は思っていたより人が少なかった。湿った草陰を何かが動く。スライムだ。

いきなり飛びついて来たスライムは50センチくらいで、手で払ったが手につけていた防具が溶けた。思ったよりもこの世界のスライムは強敵だった。

 だが時間が経つにつれ分かって来た。このスライムは1回ジャンプしたら数秒間止まる性質を持っている。そこをナイフで刺すと割れ透明な液体として溶けていき結晶が残った。この結晶の数で倒した数が分かるので金の入った袋に入れた。

 草原から戻り依頼通り鑑定屋で鑑定して銅貨6枚銀貨2枚と交換した。

宿屋にいき銀貨1枚を払った。この世界の金の価値は大体、銅貨1枚100円、銀貨1枚1000円、金貨1枚10000円だとわかった。


俺はベットに寝たが一向に眠れる気がせず外に出て防具屋などに行った。その時俺は運命的な出会いを果たした。道の端にある怪しげな店。そう奴隷屋である。奴隷を買えば戦力にもなるしコキ使い放題だ。


「すみませーん」


俺は怪しい建物に入り異様な姿を見た。無数のオリの中に無数の奴隷達が居たからだ。亜人、獣人、人、魔物、様々な奴隷を見て俺は無性に『ワクワク』した。


「いらっしゃいませ」


怪しい仮面を被った男が現れた。


「どの様な奴隷をお求めでしょうか?」


俺は言った。


「とにかくコスパが良くて戦力になる奴」


俺が言うと深くお辞儀ををして言う。


「かしこまいりました、少々お待ちください」


と言って俺を店の奥へ連れて行く。


「おすすめは亜人ですね。獣人も良いですが制御も難しく高いですから。その点亜人は獣人よりやや力は衰えますが物覚えがよく安いですので」


と言ってあるオリの上に被っていた布を落として言った。


「これなどどうでしょうか?」


中には2人いや二匹の女の子の亜人と狼型の魔物の奴隷達が入っていた。

金貨5枚か、、、貰った10枚の金貨以外ナイフに使ったしな。いやこの奴隷を利用して難易度が高くても報酬が良いものに挑戦するのもありだな。


「コレにします」


そう言って俺は奴隷を買った。

少し怯えていたが何か希望を持ったのか、少し奴隷達の目が輝いた。


この後この奴隷達は死ぬまでこき使われていくとも知らずに、、、。






















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