作者のくせに【メグダッドスコア404】の最弱なので不死身の魔王を仲間にしてみた。~ 勝手に原作改変されたので意地でもこの世界を救ってみせます ~

@at_hiiragi

第1話 はじまりは突然



この世界には3つの種族が共存している。


最も人口が多く、唯一呪術が使える人間。

人と獣の特性を持ち、体力に優れた獣人じゅうじん

他種族よりも長身、容姿端麗で頑丈な体を持つ魔族まぞく



それぞれ利点を生かし、互いの欠点を補い支え合っていた。…奴が現れるまでは。




黒幕の信仰により、魔王と成り上がった冷血漢【カミル・ド・ウェフダー】。不死身である彼にとって世界は退屈そのもの。彼が暇つぶしにと撒いた争いの種は種族間の亀裂を完全なものにしてしまった。



このままでは世界が滅亡してしまう。そんな危機に立ち上がったのは一人の勇敢なる少年【サイト・アキ】。





「ソロモンの精霊せいれいよ…ソロモン王の名の下、此処に力を示せ」


降霊術こうれいじゅつ第23の使役使役、アイムの炎!」





呪術と剣術を駆使し、仲間と共に悪役カミルへと立ち上がったのだ。







「俺のこのソード、不死身の魔王を打ち砕いてみせる!」








***








「やっぱサイトかっけー!」






斉藤千秋さいとうちあき、今年で大学3回生。



彼女いない歴21年目の俺は、出会いを諦め趣味の同人活動に明け暮れていた。


タイトルは【バク】。今流行りの異世界ファンタジー漫画。眉目秀麗な主人公サイト・アキ は俺の化身であり、憧れを詰め込んだキャラクター。綺麗なヒロインや頼りになる仲間と共に冒険に出かけ、熱い友情と白熱したバトルを繰り広げる…そんなありがちで且つ男のロマンが詰まった物語だ。


目標は今夏の即売会でバクを売ること。


だからこの春休みは机に向かう日々。外出も月2回、食料調達だけ。…なのに。




「危ない!」




その日はいつになく太陽が眩しかった。


コンビニへ向かう途中、車道へ飛び出した子供を咄嗟に追いかけ背を押して。取り残された俺はどうすることもできず、ただ茫然とトラックを見つめていた。



    ―― キキーッ



悲鳴なのか、ブレーキ音なのか。

塞ぎたくなる大音量を最後に、一筋の耳鳴りだけが俺の中で響く。


2週間ぶりの外出で交通事故に遭うなんて不運にも程がある。

言葉には表せない痛みが全身を襲うけど、助けを求めるにも声が出せない。


感じるのはコンクリートの冷たさと、容赦なく降り注ぐ太陽の熱だけ。



俺死ぬのかな…。



まだ若いし、童貞だし。やりたい事は数え切れない程ある。




でもせめて…






          バクだけは完成させたかった___





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