幼馴染と異世界転移
ささちゃん
第1話 転移
俺、笹乃威吹はなんの特徴もない高校一年生の男だ。
一応、中学までは成績は良かったが、高校に入ってからは周りと比べるとゴミカスみたいなものになってしまった。
おまけに運動神経が壊滅的で握力10kg、腹筋2回(うち2回はズル)、50メートル走10秒台。最悪だ。
紹介しようにもするものがない。
顔は普通…いや、義務会話以外で中学2年以降女子とほとんど喋ってないからそう自分が思いたいだけかもしれない。
小学校の時は家が近い女子とよく遊んでたけど、中学に入ってから周りの目を気にしはじめたせいか、一度も同じクラスになっていないせいか段々と見つけたら挨拶する程度になってしまった。
高校もせっかく同じになったし、親同士も仲がいいので接点はあるけれど、お互いにコミュニケーション能力が高い方ではないのでお互いに躊躇してしまっている感じだ。
帰りの挨拶が終わると今日もクラスで一番早く教室を出て下駄箱に向かう。
やっと中間テストが終わったのだ。
「今日はなんかいい漫画ないか見に行くか」
みんなが男女でファミリーレストランやカラオケなどに向かう中、今日も俺はこんな様子だ。
渋谷に近くても服とか見ないし、ゲーセン行くとかアニメショップ行くとかそんなものだ。
せっかくの3年しかない高校生活、こんな生活で終わっていいのかとは思いつつも別に何か行動に移るわけじゃない。
そんな日々を送っていた。
今日も疲れたなと思いながらだらだらと歩いてようやくバス停につくとスマホを取り出しゲームを起動する。
結構前からプレイしている学園系RPGゲームだ。
ゲーム性が面白いというのもあるが、何より出てくる女の子が可愛い。
ありとあらゆる性癖が網羅されていてとても素晴らしい。
まずは開いたらホーム画面の女の子を愛でることから始める。
最近はこの12歳の女の子にハマっている。
とても12歳とは思えない胸部と野菜が嫌いという子供らしい特徴とのギャップにやられてしまった。
そうだ。
この立派なおっ○いで女の子は無理がある。
女性だ。
「何やってんの?」
ニヤニヤしながらプレイしていると、横から女子の声がした。
急いでスマホの画面を閉じて声のした方へ振り向く。
「お、おう。お疲れ」
「なんで隠すのよ」
「いや別に隠してないけど、それよりも珍しいな。こんな早く学校出るなんて。友達とか待たないのか?俺と違って知り合い多いだろ」
ついびっくりして早口になってしまったが、そんな俺を気持ち悪がることなく笑いかけてくれる。
この子が小学校から同じ学校に通っている、よく遊んでた女子だ。
名前は坂内莉央。
髪は金髪で肩より10センチくらい下まで伸ばしている。
金髪だからハーフだったりするのではなく、ただ染めているだけだ。
初めて見た時は大人しめの性格だったので驚いたとともにショックを受けたがしばらく経って見るとこれはこれでありだろう。
「まあ…ちょっと今日はね…」
何か含みを持たせた様子で坂内は言った。
なんか用事があるのか聞こうとしたがちょうどバスが来る音が聞こえた。
「あ、来たな」
大体の生徒は友達と喋ったり、帰りの挨拶の時間が伸びたりするので、自分と坂内以外はまだ誰も来ていなかった。
そのおかげかバスに乗り込んだ俺たちは一番後ろの席の広いところに座ることができた。
「この時間、こんなに空いてるんだね-。まあ相当急がないと間に合わないけど…」
「まあな」
「今日はこのまま家に帰るの?」
「坂内はどうすんの?」
「私は別に特に予定もないしこのまま帰ろうかな」
珍しくこんなに早く学校を出てきたから何か用事があるのかと思ったけど違うのか。
「俺も別にどこも行くとこないし帰ろうかな」
本当は漫画でも買いに行こうかと思ってたけれど、何か様子がおかしいのでついていくことにした。
家が近いので同じバス停で降りることになるはずだ。
こんな感じで当たり障りのない色々な会話をするが結局すぐに終わってしまう。
しかし、俺はスマホをいじりながら、坂内の方は英単語帳を見ながら時々会話をする感じなので別に気まずいという感覚はないはずだ。
もっと会話をした方がいい気もするがやはり、昔のようにべたべたするわけにはいかない。
そのようなことを考えながら時々会話したりしていると15分くらい経ってあっという間に降りるべきバス停に近づいた。
「おっと、次だね」
そう言うと坂内は降車ボタンを押した。
「ありがとう」
「うん」
その後俺たちは降車して家の方へと歩き出す。
「そういえばさ、こうやって2人で一緒に帰るのも久しぶりだよね…」
「確かに。なんか懐かしいな…」
俺は一緒にゲームなどをして遊んでいた昔のことをしみじみ思い出しながら言った。
気づけば隣で一緒に歩いていた坂内がいなくなっていて、後ろを振り返ると坂内が立ち止まってしまった。
「どうしたの?」
俺は疑問に思って聞く。
「私たち、何だかんだいってここまで同じ学校通ってるから接点あるけどさ、このまま卒業して違う進路になったらもう会わなくなっちゃうのかな…」
結構深刻そうな顔をしている。
俺は素直に嬉しかった。
友達なんて所詮は薄っぺらいものだと思ってたからここまで真剣になってくれてるというのは感動したからだ。
勝手に自分になんかもう用はないと決めつけていた部分があるのでなんか申し訳ない。
「ごめん…。まあ確かに周りの目を気にしちゃってたかもな。でもまあ、そっちが仲良くしてくれる限りそれはないと思うぞ。今まで生きてきて、できた友達坂内だけだしな」
「そ、そっか」
そういうと坂内は嬉しそうにまた歩き出した。
嬉しそうにしている顔は昔と全然変わってなくて思わず微笑ましいと思ってしまった。
「そうだ。せっかくテストも終わったことだし昼ご飯どっかで食べない?」
「おお、いいぞ。どこいく?」
自分の場合、外食といったらほとんどラーメン屋しか行かない。
誘ってくれたのは嬉しいが偏食なので少し不安だ。
「ラーメンでも行こうか。山手ラーメン、好きだったよね?」
「いいね。そこにするか」
「うん。ありがとう。ていうかさ…なんか異常なほど周りに人いなくない?」
坂内が不安そうに言うので周りを見渡してみる。
確かに珍しく周りに全然人がいない。
「まあ言われて見れば確かにそうだけど昼間だしこんなもんじゃない?」
俺がそういった瞬間突然足下のただのアスファルトの道にとても現実のものとは思えないような円状の黒い渦が湧き始めた。
「え、なにこれ」
そういった瞬間吸い込まれるように自分の体が動き、どんどん下へと落ちていく。
坂内の悲鳴も上から聞こえてくる。
状況が全く理解できず、無表情で下降しているとやっと下の方から光が見え、その光を抜けると芝生が見えた。
思いっきり尻餅をつくと、上から坂内が泣きそうな顔をしながら落ちてきたので受け止めた。
「大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう…。そっちこそ、思いっきりお尻ぶつけてたけど大丈夫?」
「まあな。大丈夫だ」
俺は坂内の手を借りて立ち上がってから辺りを見回した。
遠くの方に町のようなものが見えるが基本的にはあたり一面芝生だ。
こんな場所は知らない。
何が起こったんだ?
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