光は矢、彩は弓、しなるは息。のち、ほうこう

藤泉都理




 数百年に一度、周期的に世界は壊滅の危機に見舞われた。



 戦闘に特化した或る二つの部族。その中でも数百年に一度は誕生する、それぞれの血に忠実な二人の者同士が闘った末路であった。



 その凄まじい力のぶつかり合いにより、本来なら世界はとうの昔にその美しいすがたを留めておられず、まるで無限の隕石が降り注いだかの如く、無慈悲に命は奪われ、地は喰われ、見るも無残な星屑と成り果てていたはずだった。



 地球の完全な死。



 だがそれは、二人を止められる者が居なければ、の話。



 世界が未だに美しい容を留め、生物が存在していられるのは、その時代の節々に誕生する二人と同時に、彼らを止められる人物もまた、誕生していたからである。

そして、数百年に一度のその年に当たる創世一九九九年、一月一日。新しい年を迎えたその日に、地球の、そして全人類の運命を握る人物が誕生した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る