悪魔ダンダリオン その4

次々と影を消していくサミュエル、そして攻撃を受けていた術士の代わりに結界を貼り始める異端審問官達。


しかし影は減っても再度構築し直され襲い掛かろうとしている...


きっと本体を何とかしないとならないだろうが、このような影を操る存在は一体何だろう、と頭を過ぎらす。


一応ディビッドは封印されている悪魔達の過去の情報などを分析して、その対策もしてから挑む事が多いし、ざっくりだが知られている悪魔達の簡単な特徴や攻撃方法と言ったものは全部頭に叩き込まれているのだ。


しかしこのような攻撃をする存在は知らない、まぁ聖化された銀に弱い事から悪魔や魔物では間違いないが...


ふと聖典の最終章の大悪魔達の事を思いおこすが、いや、まさかとディビッドは考える。


その中に当てはまる可能性のある悪魔が一体いる...その名前は『数多なる悪霊』レギオン。


もしあの影がそうであれば...しかしこのに現れるのか?という疑問。


もしそれらがレギオンであるなら、ディビッド自身では滅ぼす事は出来ない。


何故ならレギオン等の大悪魔は『ハイラント』がリュシフェル共々倒す事が決められているからだ。


それにしても一体何故、どのようにしてレギオンが今存在しているのか?という疑問が湧き上がる。


確かに封印されている場合はカ・ディミラらベルゼビュートとは違い未だにわからない。


そう思い耽るうちに大体の体力が回復したと判断し、ディビッドは立ち上がる。


そんな時に王城側から近づいてくる人物が、ジョナサンだ。


「遅くなった!ディビッド!」


ジョナサンはディビッドに合流する。


「いえ、これから反撃するに丁度いいでしょうからね...ジョナサン、今から周辺に術士を襲う影の本体を狙いますので場所の特定頼みます」


「了解」


ジョナサンは気を読み取るために集中すると、ある方向に顔を向ける。


「あっちだな、でも何だかおかしい感じがするぞ?」


「おかしい?」


「生きてる人間の感じなのに、生命力的なモノが感じられない」


「...アンデッドか悪霊系ですかね」


「うーん」


「まぁともかく向かいましょう、影自体はサミュエルが何とか消してくれてますからね」


とディビッド達はジョナサンが気を感じる方向へ二人で向かう。


離宮は周囲が雑木林となって囲まれており、その木々をかき分けると、原因である人と思わしき存在を確認する。


黒いローブを着た背のやや小さめの人物だ。


「見つけた!」


ジョナサンがその人物に向かって走り込み、 拳で殴りつけるもその人物の肉体は霧散し、再度肉体が構築される。


「実体じゃない???」


ジョナサンは目を丸くするが、その人物は影を生み出しジョナサンに襲い掛かろうとする。


「ジョナサン!」


「ならばっ!『術式付与!ディーブレンネン!』」


ジョナサンは腕に炎を纏わせ影にそのまま炎の拳を喰らわせるとジュウ!と簡単に消えてしまう。


「悪霊系か、呆気ないな!」


ジョナサンはそのまま構え、ローブの人物に今度はそのまま拳に纏った炎の術式を解放させる。


『術式解放!』


炎の術式を解放させると、ローブの人物目掛けて炎の柱が立ち上り、そのまま燃え盛る...しかしローブのみ燃えてしまっただけで中の人物には何も被害が及ばない...

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