その頃のジョナサン その2
「あー!そうなんですよね、ね!ジョニー」
とサミュエルはエステルが使っているジョナサンの愛称で呼ぶ。
サミュエルのナイスサポート?に首をコクコクと動かすジョナサン。
「あ、お名前ジョニーさんって言うんですね、実はお礼が言いたかったんです!」
可愛らしい笑顔を見せるスザンナに、仮面の下のジョナサンの顔は真っ赤である。
「先程は陛下だけで無くあんなに恐ろしい悪魔から私達を助けてくれて本当にありがとうございます」
綺麗なカーテシーをしながらスザンナは礼を述べる。
『ガキンチョ、話を合わせてやるっす、エアヴァルド語でなんか言えばいいっすよ』
とサミュエルが耳打ちしてくる。
『じゃあ...そんな気にするなって...』
照れながらジョナサンはそう言う。
『OK!』
と言ってサミュエルはスザンナに向かって話しかける。
「ジョニーはとても可愛らしいお嬢様にそう言っていただけた事がとても嬉しいって言ってますよ」
『お!おい勝手に脚色すんな!』
「え...私が...」
真っ赤な顔になるスザンナ、ジョナサンはその顔が可愛らしくて仮面越しでじっと見てしまう。
「ふふ、お世辞でも嬉しいです」
『いやいやいや、誰よりも可愛いし!』
とエアヴァルド語で弁明するジョナサン、そしてそれを面白がるサミュエル。
「あと...
にこりと笑顔でそう言って一礼し去っていくスザンナの後ろ姿とじっと見つめるジョナサン。
『ううっ...スザンナさん』
『ガキンチョ、ああいう素朴な子が好みだったんすねぇ』
スザンナは令嬢にしてはややぽっちゃり気味で茶色の髪とハシバミ色の瞳の素朴な感じの女の子である。
『...別にいいだろ』
『まぁ坊ちゃんや王子サマと違って、なんとも初々しいっすけど...』
『?』
『ボク等みたいな
とサミュエルがいつになく真面目にそう話す。
『...』
ジョナサンはその言葉に黙ってしまう。
悪魔と対峙する事は怪我や死と隣り合わせなだけでは無い。
悪魔そのものが自身だけではなく、身近な人間に対して攻撃や呪いを仕向ける事がある。
勿論対策はかなりしているが、それでも完全とは言えない...何故なら神に祝福されているディビッドすら呪いで死にかけ、その父は悪魔の手により命を落とした程なのだからだ。
『坊ちゃんの場合はある意味特殊だから仕方ないっすけど、ガキンチョ、お前は賢いんだから良く考えとくんすよ?教会内のでそこを理解している信徒とは訳が違うんすから...』
『俺は...』
ジョナサンはつい初恋の浮かれてしまって舞い上がって、ディビッドとバレンティナの関係を見て、自身も望めるのでは?と思っていたが、現実を突きつけられて衝撃を隠せなかった。
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