同族嫌悪って奴なのかしらね?
顔合わせが終わっての帰り道、馬車でディビッドとエステル、そしてサミュエルと三人が乗る。
「さっきティナちゃんのお父さんとお兄さんに『呪い』の件を話したら快く受け入れてくれたわよ」
「婚約の件で話した訳じゃないんですか?」
エステルがバレンティナの家族と三人だけで話をしていた件をディビッドに話す。
「馬鹿ね...それも大切な事だし話はしたわよ、でも目下ティナちゃん達家族の安全を考えて、最優先でやらなきゃならない事よ...なかなか悪魔の呪いは厄介だからね」
「確かにそうですね...」
ディビッドは納得するも、どこかズレてるディビッドに怪訝そうな顔をするエステル。
「ティナちゃんのお父さん達は記念式典が終わったら直ぐに調べさせてくれるって言ってたし、場合によってはベルガモで親類縁者を調べ尽くしていいって許可も貰ったわ」
「じゃあ僕しばらくコッチで活動しなきゃな感じっすね」
エステルの話にやれやれと言った表情のサミュエルがそう言う。
「まぁそうなるわね、現在のリュシフェルの活動自体はウルム中心だから、本国は私がいればまず問題はないし何とかなるわよ」
「...しかし姉上、最近やたらと力を使い過ぎでは?あまり無理はしない方が、マキシムかジョナサンを本国へ戻した方が良いです」
「大丈夫よ、『神罰』さえ使用しなきゃ問題ないわ、それにマキシムは貴方の『盾』だし引きこもりなジョニーは成長の為にももっと世界を見なきゃだしね...」
エステルの言葉にディビッドは眉を顰める。
「何?そんな顔して」
「こう見えても一応は心配しているんですよ、姉上」
「気持ち悪いわね、無理はしてないわ...」
ディビッドはディビッドなりにエステルの事を心配している。
エステルは確かに誰よりも強く、悪魔も瞬殺しかねない強さはあるがとある理由から『神罰』を使うと命が削られるためである。
「まぁ坊ちゃん、僕さっさと仕事済ませたら本国に戻るっすから、そこまで心配しなくていいっすよ~」
「サミュエルは真面目に仕事してくださいね」
「坊ちゃんこそ、お嬢様にうつつを抜かして手ェ抜いたりしないで下さいっす」
ディビッドとサミュエルの睨み合いが始まる。
不真面目さはどっちもどっちな癖にどうにも仲が悪い二人にエステルはため息を吐く。
「どうしてそう仲良くなれないのかしらね...」
同族嫌悪...そんな所なのかとエステルは思うのだった。
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