上級異端審問官 その6

それにしてもディビッドと父親は性格は全く違うが顔立ちは似ている、年々特に横顔を見るとよく似ているな、と思う。


そして愛する女性に対しての強い執着すら感じる愛情もだ...まさかバレンティナの婚姻の契り印まで施し、早々に手を出して囲い込む事をするとは想定外だった。


いつもニコニコしていて悪戯好きでロクな事をせず、何を考えているか分からない性格で、モテはしたけど女性に対して淡白な風に見えていたからか、そこまで執着を見せる性格では無いと思っていたからだ。


だからこそ、その執着を抑えさせ、理性を持たせる必要があると思うのだ...何せ一度その執着故の嫉妬心からバレンティナを死なせかけたのだから。


「ディブ、貴方今日はこのまま大人しく店に戻りなさいね」


「わかってますよ」


「ティナちゃんの所にピッピちゃんを置いてるからもし何かあったらタダじゃおかないからね」


「...はいはい...」


ディビッドは不貞腐れ気味の顔をする、また夜しばらく忍びこめないのか、と思うからだ。


そしてエステルはピッピちゃんをディビッドよりもバレンティナの元に置いておいた方が確実に守れると思ってだ。


「ところで姉上...さっきの話で、上位ってなんですか?」


「ああ、さっきも言ったけどそれそこティナちゃんをエアヴァルド側に連れていくには貴方にそれなりな『地位』を用意するのにね...確かにライゼンハイマー侯の養子とも思ったけど、もっと都合のいい地位があったわ!と思ってね」


「?」


「二、三日後にマキシムのお兄様...アーバイン国王がこっちに来るからその時にね」


「国王陛下が?」


「そう...ちょっとお願いしたら快く承諾してくれたわ~」


「一体アーバイン国王に何脅したんです...ぐっ!」


ディビッドはエステルに脇腹を横から肘鉄を喰らわされる。


よ!」


「いてて...暴力は辞めてくださいよ...もう...」


なんだかんだでエステルは強いので、 ちょっとした攻撃もそれなりに強い。


「まぁ貴方達の結婚の件は私が何とかしてあげるから、結婚式前に本当に妊娠なんてさせたらダメよ...結婚式にお腹の大きな花嫁なんていろいろ言われてティナちゃんが可哀想だからね」


「式って...人を集めてする式って絶対挙げなきゃダメなんですか?契り印を施した時点で神の前で結婚したも同然でしょ?」


「当たり前でしょうが!」


「ぐはっ!」


再度エステルにより肘鉄を喰らわされるディビッド。


ディビッドはどこかそう言う所が欠けている。


「女の子は綺麗な花嫁衣装を纏ってみんなに祝福されたいものなのよ?何で分からないのかしらねぇ...」


とエステルはため息を吐く。


「だってティナは私だけの#もの__・__#ですから花嫁衣装を纏った綺麗な姿を他の男に見せたく無いんです...」


不貞腐れ気味にディビッドはそう言う...#恋敵__ダリオ__#に営んでいる姿を見せつけるような男が何を言うかと思う所であるが。


「バカね...そう言う所が気持ち悪いのよ...」


とエステルはディビッドを横目で見る、何でこんな風になったのか...やっぱり血筋なのかと思うのだった。







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