うさちゃんとカフスボタン その3

「別に顔自体腫れようが傷つこうが正直な所どうでもいいんですがね...まぁ一般人に溶け込むに不利だから気をつけてますが」


「あまり自分の顔が好きではないの?」


「ん?どちらかと言うとマキシムや元の姿のジョナサンみたいな顔の方が男らしいじゃないですか?鍛えても二人みたいに身体も大きくならないですし、結構見た目で損してるんですよ...」


とため息を吐くけど...その見た目で???背は確かにマキシムさんや元の姿のジョナサンより低いけど180センチは超えてるし...


それにしてもため息つく顔もなんだか色っぽいわよね...


「私は好きよ?それに女の子なら普通、貴方の顔の方が好きなはずよ???」


「ティナに好まれるなら...って思ってはいるんですが、ロストック育ちのせいかもっと男らしい姿になりたかったんですよ...それなのに周囲からは王子様だ貴公子だって...貴族の愛人の話が聞こえた時は相手を蹴り倒そうと思ったくらいですから...」


そう言ってディビッドは自分の顔を触る。


「それって無いものねだりよ?」


「そうですか?」


「まさかその顔がコンプレックスなんて...まぁ私だって目つきがつり目なのがコンプレックだけどね」


「こんなに可愛いのに?」


「だって目つきだけで性格がキツいだの言われちゃうんだもの...ちょっと何か言ったら目つき怖いって泣かれた事もあったし...」


「酷いですね!ティナはこんなに優しいのに!!」


そう言われて抱きしめられる...素肌のままの厚い胸板、裸で抱き合う事自体は何度もあるけどもなんだか恥ずかしいわ。


「私が?優しい?」


「ええ...誰よりも...正義感が強くて危険を省みずに人を守ろうとするし、貧しい子を励ましたりするし...何より私に優しく接してくれるじゃないですか?」


ぎゅっと抱きしめる腕が強い。


「そんなに優しい人間じゃないわよ...」


「いいえ...そんな事は無いです」


感じる体温が熱いくらい...身体中傷だらけで所々抉られた様な跡が痛々しいけど嫌とは感じない...


そのまま頬に手を滑らせ顔を上げられキスをするわ。


いつもの様に舌を絡ませるようなキスを...


そしてそのまま二人で愛しあう...


───

「本当はずっとこのまま愛し合いたい所ですが、きっとマキシムとジョナサンが戻って来ますから...」


そう言ってディビッドは私の格好を整えてくれる。


「あ...そうだわ...これ!」


ポケットからディビッドの純銀製のカフスボタンを取り出す。


「これを返しに来たの...」


ディビッドに預かったカフスを渡す。

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