うさちゃんとカフスボタン その2

シルヴィオは打撃武器特化ではあるが、学生時代に習ったボクシングの心得もあり喧嘩は誰よりも強い漢である。


「あまり対人間戦は得意じゃあ無いんですが...」


ディビッドはシルヴィオに近づき回し蹴りをするもシルヴィオの腕でガードされてしまう!


「なっ!」


焦るディビッドにシルヴィオはニヤリと笑ってそのまま空いている拳をディビッドの頬へ!


シルヴィオの強烈な左ストレートが決まるとその勢いでディビッドは地面に叩きつけられる。


「銃だの脚技だのばかりに頼らねぇで他も鍛えた方がいいんじゃねぇのか?色男?」


ニヤニヤとシルヴィオは倒れたディビッドを見る。


「はは...足は兎も角、この手は戦う以上にティナの為にお菓子作る為のものですから」


ディビッドは上半身を起こし、手をひらひらとさせる。


整った美しい顔の半分は腫れ鼻血も垂らしている有様だ。


「...まぁいい...気が済んだから戻る」


どことなくスッキリした顔のシルヴィオは戻って行く。


「おい!ディビッド!」


マキシムとジョナサンが駆け寄る、そこまで顔を痛めつけられた姿は見たことが無いため二人は驚き心配している。


「はは、大丈夫ですよ...シルヴィオは本気出してた訳じゃないみたいですし...」


と自身にヒールをかけて回復させ、ジョナサンから受け取ったタオルで鼻血を拭き取るとあっという間に腫れが引いて元の顔に戻ってしまう。


「あの方本気で殴ってたら歯の1本2本どころじゃないですから」


まぁ本気なら鼻の骨どころか顎骨をへし折ったりともっと酷い有様であるが、その程度で済ませたのはシルヴィオのバレンティナの事を考えての温情なのだろう。


「...お前...それ日頃の行いの所為だから」


マキシムははぁ...とため息を吐く。


『回復したとは言え、ディビッドは休んだ方が良いんじゃないか?』


なんだかんだでジョナサンは心配をするのは、仲が良い証拠なのだろう。


「暫く二人で訓練を続けるからお前は部屋に戻って休んでろ...」


「そうですね...シャワーでも浴びて休んでます...」


マキシムの言葉の同意し、立ち上がり屋敷の方へディビッドは歩いて行ったのだった。


──


「もう!お兄様ったら!」


「ふふ、ティナの事が大切なんですよ...義兄様は」


ディビッドと二人、ベッドに腰掛けながら殴られた話をするわ!もう!


ディビッドは自分で回復させたから、顔自体は元通りかもだけど...


「どっちの頬を殴られたの?」


「はは、こっちですね」


と右頬を指さすけど回復したからか跡は全く無いようね...良かった。

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