感謝しますね

「予告通り撃ち倒したね...『白の射手』」


何処からか声が聞こえる...ディビッドはふと周囲を見ると、遠くにあの例の少女とその隣にディビッドの祖先と思われる白髪の男が立っていた。


少女は先程と同じ12、3歳の年齢の姿で、白髪の男も前回出会った時とは違い何処となく若々しい感じで、何処かで見た覚えのある昔の宣教師の服を着ている。


「もう少しタイミングとか選べないんですか?貴女に会う際にいつも倒れ込んでは変な病気って思われちゃいますよ」


「まぁそこは仕方ないよ、そうしてねってお願いされてるからね」


少女は仕方ないんだよ、と言う顔でそう言われる。


「まぁ君の因果一つ...アンドラスは滅んだけどさ、君にはまだ役割があるからね」


「...悲しみに囚われたエルコラーロに安寧を...浄化をすることですか?」


ヨベルを行う事だろうか...7年かけて浄化をすることかとディビッドは思う。


「いや、もっとすごい事さ!」


と少女は両手を上げてそう言う。


「すごいって???」


「まぁそこは近いうちに分かるよ、そう言う力も君に受け継いで貰った訳だしね」


「???」


「まぁ君はこの短い期間に悪魔を二体も滅ぼしたんだ...タフなのは分かるけど休んだほうがいい、きっと肉体的にも精神的にも疲労が蓄積されてて辛いでしょう」


「まぁそうですね」


アンドラス戦の前に回復させてもらったとは言え、確かに心身共に疲れが出ている...しかもここ最近ずっとバレンティナと夜共にしている時間も長かった事も...と思うもそれはそれで必要な事だし別だな、とディビッドは思う。


「...不健全な事考えて、全く誰に似たんだろうねぇ...」


と少女はちらりと横の白髪の男へと目をやるが、男は私ではないですよと言うかの様に首を振る。


「まぁいいや、『白の射手』次目覚めたらエルコラーロへ向かうんだ...君の花嫁と一緒にね」


「ティナと?」


「君の事を更に知って貰うためにね」


「私の事をですか?」


「そ!あの子には知る権利があるから、ハイラントへ続く母の1人になるのだからね?それに彼女も...」


と少女が言いかけた時に、以前現れた昔の神殿騎士姿の男が現れる。


「...マキシ...そうか、分かったよ」


少女はバレンティナの件はまだ言うべきでは無いと咎められたのか、仕方ないねと話を辞める。


「じゃあまた会う時に...あ!そうだ」


少女は白髪の男の腕を掴んで引っ張るようにディビッドの元へ。


「彼が一言お礼を言いたいって言ってたからね」


と面と向かう...おや?前回のあの男とよく見ると違う人物である事に気がつく。


「私に変わって父を救って下さり感謝しますね」


そう言って笑顔を見せる顔は更に若返る!


茶色の柔らかい癖毛と深い紫色の瞳...やや細目な感じだがディビッドに良く似た青年の姿だ。


ああ!この人物こそがディビッド自身に流れる血...


賢者である血筋であり、英雄マテウスが引き取って育てた息子である人物...自身と同じ名前『ディビッド』であると気がつく。


その瞬間ディビッドは目覚めた...


───

※まぁ鎧姿の神殿騎士を出したし『彼』も出しましたw

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