封印都市エルコラーロ その4

ベルガモの中心から軍用車で陸地側に半日かかる場所に学術都市後...正式名称『封印都市 エルコラーロ』が存在する。


そこにはその昔多くの術士や研究者がおり、術式学の発展の為に日夜励んでいた場所だった。


しかし、ある人物が愚かにも悪魔アンドラスを解放させ、あろう事か賢者の血肉を生贄の媒介とした為に多大な被害を及ぼし、ウルム国の多大の被害を被った...都市の半分以上人々が不破を引き起こす禁呪により殺し合いが起こり、大勢いた術士達が殺害されたからである。


そんな中悪魔アンドラス封じたのがその時代、最も優秀と呼ばれた賢者マテウス...無属性術式の権威で悪魔を倒し封じる事を専門とした軍人だった。


悪魔アンドラスを封じた場所は都市中心部の広間で今は許可が無ければ誰も入る事ができない様に二重の封印と結界を張っている。


周囲の街の残骸は当時のままであり、随分朽ちているとは言え起こった事態を知るには十分とも言える場所であった。


その都市入るディビッド達。


それぞれが司祭服や鎧を身につけてである。


「何とも酷いな...」


そうマキシムは呟く...遺跡群...と呼ぶには新しいのか人が住んでいた形跡がまだ分かる残骸がゴロゴロとしているのだ。


「皆さん、こっちです」


セルジオが道案内役としてついてきており、都市中心部へと案内する。


「このままにしているのは、過去あった出来事を忘れない為にと当時の国王陛下が望まれた結果だそうです」


そうセルジオは説明する。


「悪魔の被害がどれ程の物でどれだけ危険か...それを忘れない為なんですね」


ディビッドは周囲を見てそう呟く。


ディビッドの憂いに満ちた顔をセルジオは見る...そんな顔すら美しいなと思うセルジオ...


まぁ実際は愛しいバレンティナに早く逢いたい気持ちばかりで頭が一杯でそんな顔のなっているだけとはマキシム達以外分かりはしないだろう。


そのまま進むと周囲の残骸とは全く違う綺麗な建物が現れる。丸みを帯びた形の巨大な赤い壁の建物。


「上から見ると豆型になっていて中に入ると、左右の塔には軍人達の生活スペースと会議などの施設...そしてそのまま地下に進む階段を降りればアンドラスの封じられた部屋に行きつきます」


そう言って門を守る守衛にセルジオは声をかけて開けてもらう。


中は先程の残骸の残る場所とは打って変わって近代的な施設だ。


『ここだけ時間が動いている感じがするなぁ』


そう言ってジョナサンは建物内を見回す、軍人だけとは言え人がおり、生活している空気を感じるのだ。

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