実家に帰って来たわよ! その2

パパと久々に夕食を済ませて、久々に領地のお話を聞いたけどパパやっぱりやらかしててお兄様も色々大変だったかも、と同情しちゃうわ。


でもパパは優しいしポンコツだけど憎めないのよね...


ちなみにお兄様はディビッド達を連れて何処かに行っちゃってまだ帰って来ないみたい。


だいぶ日も暮れたしゆっくりとお風呂に入ったわ、高級な寝台列車とは言えどうしてもシャワーしか無かったし...ディビッドにしつこくされてばかりだったし...むむ...


お風呂から上がって、髪を乾かして貰うのだけど、屋敷にいる時は必ずアンナが髪を解かしてくれるのよ。


爽やかな香りの香油をつけて貰ってブラシで丁寧に解かしてくれる。


お兄様のお陰で今は貴族らしい生活が出来るけど、昔はそうは行かなかったし、アンナもその件で仕えている私たちにみっともない生活を強いられていたのを苦慮していて、お金をかけられる様になってからは何処から用意したのか高級品で私を手入れしてくれるのよね。


特に小さい時は水仕事であかぎれが出来ては『姫様がこんなボロボロになって可哀想に』と言っては薬を塗ってくれたわよね。


「本当に姫様のお髪は綺麗ですねぇ」


「でもミントグリーンの髪色なんて目立っちゃってすぐにアルカンタル侯の娘ってバレちゃうからお買い物も簡単に出来ないもの、私はお兄様みたいな赤毛やアンナが若かった時みたいな茶色が良かったわ」


「それはないものねだりですよ、亡くなられた大奥様はとても喜んでいたんですから?」


「そうね...お婆様もよくこの髪を褒めて下さったものね」


でもこの色...ミントグリーンの髪とピンクダイヤモンドの瞳は『悪魔の生贄』の証...ただし信仰の元にあるなら加護により助かる...そうディビッドやエステルお姉様にも言われたわ...


そう言えばお婆様もベロニカもトラウゴット教の信者だったのに、パパの代から離れてしまったみたいなのよね...まぁお金が無かったからかもだけど。


「姫様?」


「あ!何?」


「何だかぼーっとされて」


アンナが心配そうに覗き込む。


「アンナごめんなさい、旅の疲れかも」


「そうですねぇ...それにもうおねむの時間ですからね」


「もう!赤ちゃんじゃないわよ?」


アンナは今でも小さい子供扱いなんだから!


「いいえ、ばぁばにとっては姫様はずーっと小さいお姫様ですからね」


ニコニコとアンナは微笑んで此方を見るわ。


「さぁさぁもう寝てしまいましょう、シルヴィオ様はお客様を連れ帰る筈できっと夜中にしか帰って来ませんから」


「そうね、分かったわ」


そう言ってベッドで横になり、掛け布団をアンナはかけてくれる。


「じゃあ姫様お休みなさい」


「お休みアンナ」


部屋を暗くしてもらって静かになる...


今日は安眠できそうね...むにゃむにゃ...

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