故郷へ その2

豪華寝台列車のスイートルーム...車両の半分を使った豪華な部屋で高級ホテル並み...マホガニーを個室全体に使いつつ、深いブルーのカーペットやソファーも設置されて、奥には人が2人寝ても良いくらいのベッドがあって、とても快適な旅が期待できるけど...まさかその隣にディビッド達が部屋を借りてるとか...まさか部屋割りまで弄ってはないわよねぇ...


で私の個室の2人がけのソファーには私とディビッド、個々のソファーにはマキシムさんとジョナサンが座って小さなテーブルを囲んでいる。


「まぁほらマキシムが王族って事もあるから」


とは言うけど...何故か私の部屋に3人が入り浸る状況なのかしら...まぁディビッドと2人よりは安全だけど...


「ウルム行きの時乗った寝台列車とは凄く違うんですけど...」


とジョナサンがぼやく。


「俺らがこっち来た時はおんなじのに乗ったぞ?」


『くっそ...図体ばかりのボンクラの癖に地位だけは良いからってこの差...』


エアヴァルド語でぼやくジョナサン...ウルムに着いたばかりの時心細そうだっただろうし、なんだかジョナサンが気の毒になって来たわ。


「お菓子食べる?ジョナサン」


用意されてたチョコやクッキーなどの焼き菓子の入った籠をジョナサンに差し出すと何個かつまんで口に詰め込む。


「高級なおかし美味しい!」


本当は年上だし実際の姿は筋骨隆々だけど、弱体化したジョナサンはお菓子一つで機嫌が良くなるなんて本当子供よねぇ...見た目で精神引っ張られるのかしら???


「ティナ...ジョナサンばかり構って...私の事忘れてません?」


あー更に大きな子供がいたわ...横に座ってずっと肩に手を回したままのディビッドが...


「忘れるも何もここまでわがまま貫き通す人初めて見たわよ!サヴェリオ陛下まで巻き込んで!」


「いやぁ何せサヴェリオ国王陛下が勝手にいろいろ優遇してくれるので」


ニコニコとディビッドは悪気もない顔で答える...


本当は毎日エッチしに来た件とかいろいろ言いたい事もあるけど、流石にマキシムさんやジョナサンの目の前じゃあ恥ずかしすぎて言えないから黙ってるけどもう!


それにしてもあのサヴェリオ陛下に一目置かれるってすごい事よね...等の本人はエッチだし反省の色見せないしこんな感じだけど、まぁ悪魔を滅ぼせる唯一の存在ですものね...


何だかマキシムさんとジョナサンがいるのにキスしようとするから、お菓子の籠からチョコレートをとってディビッドの口に突っ込む。


「みんながいる時はダメ!」


「じゃあマキシムとジョナサン部屋に戻って下さい、2人で楽しみたいので」


しっしっ!と追い払うように手を払うわ...もう!犬猫じゃなんだから!


「「それはだめだ!」」


マキシムさんとジョナサンが同時に声をあげたわ!


「俺は毎日無体を働いてるはずだからって、エステル様にバレンティナ嬢に無茶させないようにって頼まれてるからな!」


「朝から不健全です!連日夜居なくなってたのはわかってるんです!せめて夜みんなが寝た後にしてください!」


うう...結局2人にもバレてるし...恥ずかしすぎだわ!


そんな感じでまさかのベルガモまでの里帰りがこんな感じで始まったのよ...うーん...

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