花嫁の誘い その2

テーブルにはバケットをトマトと野菜のブロード(だし)で煮たパン粥(パッパ・アル・ポモドーロ)が用意されていた。


「きっとたいして食べて無いでしょ?消化のいいものを作ったわよ」


「本当に料理出来たんですね」


「む!失礼ね...まぁ普通の令嬢は作ったりしないものね」


ディビッドはシャワーを浴び髭も剃ってさっぱりした顔になっていたけどやつれている。


「冷めない内に食べて」


バレンティナはディビッドを座らせてスプーンを持たせて食べるように促す。


掬って一口、そのままスプーンで掬っては一口とゆっくり食事を始める。


「...優しい味ですね...」


「これはね...二、三日置いて硬くなってしまったパンを食べる為に領地のお婆さま方に教わった料理なの...あ!あんまり急に食べるとお腹がびっくりするわ!ゆっくり食べて」


食事を早めようとするのを落ち着かせるようにバレンティナはディビッドに優しく語りかけた。


「美味しい...今まで食べた何よりも美味しいです」


「それはお腹が空いてるせいよ...だって貴方のご飯の方が美味しいもの」


「それでも...」


アメジストの双眸は涙を溢れさせぼろぼろと泣き始める。


「ティナ...ごめん...下らない嫉妬の所為でティナをこの手で殺めてしまう所だった...」


うっ...うっ...とディビッドは泣きながら語る。


「大丈夫だから」


ディビッドの後ろからバレンティナは優しく抱きしめる。


「私は貴方の事が好きよ...誰よりも愛してるから...だからね...嫉妬なんてしなくてもいいから...信じて...」


「ティナ...」


ディビッドは暫く泣いた...それをただ優しくバレンティナは抱きしめ...頭を撫でた。


───


「まだお鍋に残っているから、回復したらもっとしっかりしたもの食べて、そのやつれた顔を元に戻さないと女の子達に心配されるわよ」


キッチンで洗い物をなどを使用人にお願いし、ディビッドの部屋にバレンティナがやって来る。


ディビッドは自分の部屋のソファーに座ったまま首を傾げる。


「そんなに痩せ細ってます?」


「そうね、心配して押しかけてご飯食べさせたいとか言い出しそうな程よ」


バレンティナはしゃがんでディビッドの正面に向かい合って右の頬に触れる。


「うーん...私はティナの料理だけで良いです」


「ふふ、そう言ってくれると嬉しいわ...」


「ありがとうございます...本当に」


「早く元気になってね」


バレンティナはディビッドに軽く唇にキスをする。


唇を離し顔を見るとディビッドの顔は真っ赤だ。


「本当に貴方って自分からぐいぐい行くのに、いざ自分がされると恥ずかしがるのね...ん?」


ディビッドは身体ごと横に向く...バレンティナはああ...と納得する。


「すみません...」


「良いわよ...今更恥ずかしがっちゃって...いつも無理矢理エッチな事してたくせに」


「でも暫くは...」


反省しているのかそれ以上は出来ない...とディビッドは下を向いたままだ。


「...」


バレンティナはふぅ...とため息をつき、ワンピースのボタンを外し、服を脱ぎ、あっという間に生まれたままの姿になる。


その姿にディビッドは目を丸くし驚いた。


「来て...ディビッド...」


バレンティナは両腕を広げ、ディビッドを誘う...微笑みながら。


「ティナ...」


そのまま抱きしめ、ベッドに倒れ込むように2人は横になるとキスをする...舌を絡めながらの深いものを...


そして2人は愛し合う...奪うのではなく、与え合う為に...


───────────

※現時点のディビッドはヒール系(回復)は出来てもリザレクション(復活)は出来ない。

この場合マジで死にかけたからリザレクションが必要だったのです。エステル様居てよかったね。

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