グシオン受肉
リュシフェルのその手には翡翠で出来た様な『禁呪の書き板』があった。
『さぁテこの中で誰がグシオンに相応しい肉体なのカ?グシオン...貴方が決めテ下さイ』
書き板がまるで生きているかの様にリュシフェルは語りかけると、書き板がギラリと光る。
『憤怒!そうですカ!』
リュシフェルはシルヴィオへ顔を向けた。
それに気がついたバレンティナは、シルヴィオに叫ぶ様に懇願する。
「え!お兄様!お兄様ァ!逃げて!」
リュシフェルはシルヴィオの近くまで瞬間移動し、書き板をシルヴィオへ埋め込もうとする。
「ふざけんなゴラァ!」
シルヴィオは禁呪の書き板をバールのようなもので弾き飛ばした。
書き板は床に落ちると、鈍く光りだす。
周囲は唖然とする...特に上級異端審問官であるディビッドとマキシムはあまりの事に驚きを隠せない。
「信仰の元に無いのに悪魔の囁きに勝つなんて、どんな精神力なんですか...」
あまりに驚いてディビッドの口からそんな言葉が漏れる。
『何ト!なんたル確固としタ意志!因果ハこの男を受肉させなイ様ですネ』
リュシフェルは禁呪の書き板を広い上げると次にダリオに目をやる。
『哀れナ男...親に認められズ!能力はあっテも学生時代は自身よりも能力に溢れタ男に負ケて!ずっと思い続けていタ女は別ノ男に横取リされテ!貴方1番ニなりたいト思いませんカ?万年2位のダリオ モルディード』
リュシフェルはダリオを唆す...
「何を馬鹿な!」
『グシオンは知恵と栄光を司ル神...その力...欲しくハ無いですカ?』
「ち...力...」
『欲しイですよネ!』
リュシフェルはダリオの目の前に移動し、禁呪の書き板をダリオの胸に押し付けた!
「ダリオ!」
ズブズブと書き板はダリオの胸に埋もれていくと、ダリオはうわぁぁ!と叫び声を上げる。
ダリオから黒い霧の様な物が溢れて、ボキボキグチャグチャと骨が折れ肉が潰れていく恐ろしい音が響く。
『アハハハハハ!私を存分に楽しませて下さいナ!』
そう言ってリュシフェルは姿を消す。
「しまった!受肉されてしまったか!」
マキシムがそう叫ぶと、シルヴィオがダリオの元へ走って向かった。
「ダリオ!ダリオっ!今助けてやる!」
シルヴィオが黒い霧へ手を伸ばそうとするもボン!という風圧で吹き飛ばされる。
「ぐはっ!」
シルヴィオは吹き飛ばされ壁に当たって、衝撃でぐったりしてしまう。
「お兄様!お兄様!」
バレンティナはシルヴィオに駆け寄る。
そこに現れた姿は大きな黒い猿の姿の化け物...背中には黒い蝙蝠の翼で目は赤く不気味に光る。
『ダハハハハッ!我は知恵と栄光の神グシオン!万年2位の汚名を返上してやるぞ!!!』
「ダリオ...」
シルヴィオはじっとダリオ...悪魔グシオンを見つめる。
『シルヴィオ!いつもいつもいつもお前がいるせいで腰巾着と罵られ!術式意外の成績では勝てず!絶対1位に立てなかった!貴様が憎い憎い憎い!』
「やめてダリオ!」
バレンティナは兄シルヴィオを庇う様に前に立つ。
『アア...バレンティナ...何故我を選ばぬ...何故だ何故だ何故だ!』
そう叫ぶと横からパァン!と銃声が轟くとグシオンの頭に弾丸がヒットしたのか、頭に黒い霧が漏れ始める。
『グアッ!』
「そりゃあ当たり前でしょ?」
ディビッドは右手の銃を向けながらグシオンに近づく。
「だって貴方ティナの見た目だけ、能力だけしか見てないですもの...こんなにも性格だって愛らしいのに」
ディビッドは更に弾丸をグシオンの頭にに撃ち込む。
『こんなもの我に効かぬぞ!』
「それは想定内ですよ!『神に敵する邪悪な者よ!蝗の軍勢は邪悪な者の領地を食い荒らす!残るものは何もない!』」
ディビッドは聖句の一節を読み上げると、何処からともなく大量の蝗の群れが現れグシオンに襲いかかる。
『ギャアアアア!』
1匹1匹の蝗は大きく、鉄をも砕く顎を持つ...襲い掛かられれば通常は無事では済まされない。
『ディビッド!』
「ジョナサン!攻撃を!」
『分かった!』
ジョナサンが会場に入り、状況を直ぐ判断し右手に風、左手に氷の高位術式を展開させる。
『風氷融合ォ!ヴィンドホーゼッ!』
手を合わせて術式を融合し、術式を一つにさせると、ゴゥッ!と大きな嵐の様な音と共にグシオンに何本もの竜巻が発生し襲いかかる!
『ギャア!』
竜巻はグシオンと共に屋敷の天井も吹き飛ぶ!叫び声と共に。
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