chapter2:Jealous lover
異国の少年
今日はスザンナと一緒にお買い物するって約束の日!
いつものように黒いカツラと眼鏡をかけて、半袖のブラウスに青ベースのチェックのスカートでいつものように英雄マテウス像前で待ってたの。
ちょっと遅い...スザンナは遅刻するような子じゃないのに...と心配になった時スザンナの声が聞こえる。
「ティナ!遅くなってごめんなさい」
「スザンナ!よかった...あら?」
スザンナの後ろに私たちと同じかちょっと背の高いかなと思う少年が立っていた。
きっと14、5歳くらいなのかしら...中性的な感じの弱々しい少年でなんだかおどおどしていて浅黒い肌で紺色の髪は片目を隠すように前髪をのばしているわ...その見た目だときっとエアヴァルドの南の方かテルニ人かもしれないわね。
服は何故か大きめのばかり着ていて白いシャツを無理に着てるのかぶかぶかで腕まくりをしており、サスペンダーをしてなんとか茶色のズボンを履いている、靴は大きいけど足だけはピッタリみたいね。
旅行用の大きなカバンを一つ、抱えるように持ってるわ。
そして特に目立つのがその瞳...赤に近いオレンジ色の子...赤を宿している!
「あのね、この子ジョナサンって言うんだけどウルム語ちゃんと話せないらしくてすごく困っている様だったから声をかけたの、そしたらフィオーレ・ビアンコに行きたいって言ってたから今日はそっちに一緒に連れて行きたいんだけど」
「ジョナサン...です...お...お願いします...」
オドオドとジョナサンと名乗る少年は一礼するわ。
フィオーレ・ビアンコ...ディビッド達の知り合いなのかしら?でもこんな気弱そうな子とても悪魔退治とかできそうにないんだけど...まぁ困ってるなら助けてあげなきゃね!
「ええいいわよ、一緒に行きましょう!」
「あ...ありが...とう...ございます...」
ヘコヘコとジョナサンは頭を下げるわ。
そうやって3人でフィオーレ・ビアンコへ向かったの...流石にお客様連れて行くんだからエッチな事はされないと思うわ...うん...
────
いつものようにフィオーレ・ビアンコは人気ねぇ...と思いながらお店に入る。
店員さんがこちらに向かってくる...もう顔見知りになっちゃったのよ...
「あ!今日は私が来たって言わなくていいわよ、オーナーに会いに来た訳じゃないの...」
と言ってる間にディビッドがすぐさま現れたわ!
「ティナ!今日は来てくれる日じゃないのに...ん?」
ディビッドは私たちの後ろにいるオドオドしたジョナサンに目を向ける。
『ジョナサンじゃないですか!確か明後日にここに来るって話でしょうに』
ディビッドがエアヴァルド語でジョナサンに話しかけてるわ。
『はぁ!ふざけんな!俺はちゃんと今日の正午にって言ったはずだぞこの野郎!待てど暮らせど迎えにはこねぇし...そこのスザンナってかわい子ちゃんが声かけてくれたからここまでこれたけどなぁ』
おおお...ジョナサンとってもお口が悪いわ...
『おかしいですね...マキシムは明後日って言ってましたよ、そこのカレンダーにチェックつけてるでしょ?この日だってマキシムがつけていったんです』
ディビッドはカレンダーを指差す...確かに明後日にチェックが入っているわ。
『はぁ???じゃああの図体ばっかのボンクラのせいか!くっそ!滅茶苦茶不安だったんだぞ!』
『まぁ抗議はマキシムに言って下さいね』
「ふふ、仲が良いのね」
エアヴァルド語がわからないスザンナはニコニコと微笑んでるけど...きっと事実は伝えない方が良いわよね...うん...
『それにしてもお前なんだよここ女の子ばっかりじゃねぇか...まさかこの子達もお前の女...』
『馬鹿言ってるんじゃないです!私はティナ一筋なんですよ!』
『おいおい、エステル様みたいな緑髪じゃねぇだろその子...まさか浮気か?まぁお前みたいな色男なら女の20人や30人は...』
『そんな訳ないでしょ...はぁ...まぁ詳しい話は2階で話ましょうか...』
ディビッドは頭を掻いてこちらに顔を向ける。
「ティナもお友達とどうぞ!お茶もご馳走しますので!」
とっても良い笑顔で2階へ誘導するわ...まぁ大丈夫...よね...
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