悪魔アスタルト その2
マキシムさんは盾を構えてアスタルトへ近づきその後ろにディビッドは着いていく!
アスタルトと呼ばれる悪魔はケタケタ笑いながら白い石を周辺に召喚しマキシムさんへ叩きつける!
それを全て大盾で守り、進んで行く。
「なかなか衝撃が強い!」
きっと盾には防御の術式が施された特別製なのね、盾周囲にディフェンシブで守られた空気の層の様なものを感じるわ!
「もう少し!今ですっ!マキシムは防御解除!『強欲な者よ!その強欲ゆえに邪悪な企みをくわだてる者よ、その心を神は憎まれる!その者の所有物は全て蝗によって食い荒らされるであろう!』」
アスタルトの攻撃が止まる瞬間を見極め、右手の銃を向けながら、蝗の災厄の一節を読み上げると何処からともなく現れた蝗の大群がアスタルトに襲いかかったわ!
『ギャアアアアアア』
蝗の群れはアスタルトの固い表皮を噛み砕き無数の傷をつける、その傷の、特に胸の薄ら見える心臓部分と思わしき赤黒い部分へ左手の銃をむけて何発か撃ち込んでるわ。
左手の銃は聖化された純銀製の銃弾が込められた特別製、悪魔は一時的に動けなくなる。
『ウァァ!』
宙に浮いていたアスタルトはバタン!と地面に転がるのを見やるとすぐさま別の句を読み上げる!
『邪悪な者!神に逆らいし傲慢で強欲なる者!淫行に耽る愚かなる者よ!神は望まれた!天よりの裁きを身に受けよと!』
天からドォン!と紫色の稲妻がアスタルト目掛けて落ちたわ!
「マキシム!再度防御へっ!きっと人の形が保てなくなったはず」
マキシムさんは再度大盾を構えディビッドと共に距離を取る。
アスタルトはジュウジュウと黒い霧を身体の傷から発し出すとバラバラと固い表皮を落としてムクムクと巨大化するわ!
『ギャアアアアアア!贄ォォォ!贄ォォォ!心臓ォォォ!』
半透明なブヨブヨとした細長いクラゲみたいな姿に変化していったわ!中央付近に赤黒いハートのある気味の悪い恐ろしい姿!
頭部分はばっくりと六つに割れて気持ちの悪い口になってて、半透明な触手もワサワサしてて気持ち悪いし怖いしで背筋がざわざわするわ!
「随分としつこいストーカーですねぇ!」
『ディビッドォォォ!心臓ォォォ!貴方の心臓ォォォ頂戴!』
触手の攻撃が始まるもマキシムさんの大盾で全て跳ね返しては攻撃後の瞬間を見計らってディビッドは銃弾を撃ち込んでいく!
アスタルトの身体がむしろ柔らかくて純銀製の弾丸が肝心の心臓部分に届かない為か動きがそこまで長く止まる事が無いみたい。
そうやって短い時間動きが止まったらジリジリと近づいて攻撃が止まる所を見計らっているようね。
「マキシム、防御から攻撃へシフトっ!触手を打ち払え!」
「応!」
そう言われてディビッドは一旦下がり、マキシムさんは片手剣を抜いて触手攻撃を斬り払っていくわ!
攻撃出来る触手をほぼ斬り払い終えて一旦マキシムさんが下がると、後ろに下がっていたディビッドが勢い良く走り出す。
「マキシム!盾を上に掲げろっ!」
マキシムさんは大盾を自分の頭より上に掲げるとその大盾に飛び乗って高くジャンプしてアスタルトの頭部まで飛び上がったわ!
マキシムさんの攻撃により触手を失ったアスタルトに向かってディビッドは右の銃口を向けて聖典の一節を読み上げる!
『裁き時は来たっ!悪しき者の頭を砕く裁きの鉄槌を!』
裁きの鉄槌の句を読み上げると豊かな紺色の髪を靡かせた光り輝く聖サンソンの幻影が現れアスタルトの頭部目掛けて拳を振り下ろす!
石畳ごとアスタルトの身体は大地にめり込んだわ!
『ギャアアアアアア!』
アスタルトの断末魔と共にジュウジュウと黒い霧は漏れ溢れ、霧散していく...
ストン、とディビッドは着地してアスタルトがめり込んだ場所を見る。
「やったか!」
マキシムさんは声を上げる、裁きの鉄槌によりめり込んだ地面にはさっきの女性とその近くには翡翠石の書き板が砕け落ちていたわ...
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