ピッピちゃんの正体
その瞬間ビュンとピッピちゃんがリュシフェルの前に止まる。
『最初の悪魔、明けの明星リュシフェルよ!』
ピッピちゃんが女の人の声で語り出す。
『私は全てを見透かす預言者エステル!神は語った、お前の野望は打ち砕かれる!』
ピッピちゃんからぼわっと光が放たれ人の姿の幻影が現れる...ディビッドによく似た女性、白と青のローブを身に纏ったストレートヘアは肩までで切り揃えている、ただ髪と瞳はティナ同じ色合いの女性だ!
『来ましたネ!預言者エステル!』
「姉上!」
『ディブ、何カッコつけてんの!あんただけが唯一の希望!ハイラントの系譜を繋ぐ者なのよ!リュシフェルは私に任せなさい!』
そう言ってエステルはリュシフェルに向かって聖典の一節を読み上げる。
『絶滅だ!絶滅だ!絶滅だ!雹の災厄は血と淫行と暴力を愛する邪悪な貴様を逃さない!何処に隠れようとも滅びは確実に襲ってくる!』
周囲の空気 がひんやりし出し大きな雹が天から降り注く!絶滅の雹、リュシフェルに雹の災厄が襲いかかるがティナには一切当たらない。
その隙にティナはリュシフェルから逃げ出しディビッドの元へ走る。
「ティナ!」
「ディビッド!」
ティナはディビッドの胸に飛び込みディビッドは抱きしめる。
「貴方馬鹿よ...なんで私なんかを...出会ったばっかりの私みたいなお金に汚くてわがままで性格の悪い私なんかに...」
「いえ...ずっとずっと昔から...小さい頃からまだ見ぬ貴女に焦がれていたんです...そんな貴女を失うなんて私にはできません、まぁそれに私は結婚して子供が5人産まれるまでは死にそうな出来事があったとしても絶対死ぬ事が無いですから...元に今も死ぬ事はなかったですし」
「え?」
ティナはそう言われてきょとんとする、ディビッドはただただぎゅっとティナを抱きしめる。
『ハハ、逃げられちゃいましタね!』
若干弱っている様だが余裕の表情を見せるリュシフェル。
『...らしくないわね、リュシフェル...普通に人質取るような、こんな下らない茶番を!』
『くくく...表舞台に出ることのない預言者サマを引きずり出す事が私の目的...力を使えば使うだけ命を削る貴女の姿を見ること...ああ彼の神はどんな顔をしてるのか!愛し子である預言者の命が削られる姿を見てどんなに苦しんでいるカ!』
リュシフェルは天を仰ぎ、ウットリとした顔をする、リュシフェルの目的はただ一つ...真の神たる創造主にして忠節なる神(トラウゴット)に対して罪を蓄積させる事である。
『ではごきげんよう、因果の元で苦しみもがきなさいナ』
そう言ってリュシフェルはすぅっと消えていく。
「姉上、もう大丈夫です...リュシフェルの目的が果たされた...命が削られる前に戻って下さい、マキシムが悲しむ」
『わかったわ』
そういってエステルの姿は消えて、ピッピちゃんがディビッドの肩に乗った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます