悪魔ゼパル
少し時間を遡った屋敷のサロン内。
「まぁ堂々とやって来たモノだなぁ!」
エスタバンがサロンの真ん中に立っていた、あの干からびたミイラではない、元々の金髪碧眼の美しい姿で...しかも満ち溢れる力を感じる。
「ええ、種無しな貴様から私の花嫁を取り返しにやって来ました」
とディビッドは右手の銃をエスタバンに向ける。
「はっ!もう種無しなんかじゃないぞ!前よりも満ち溢れる力と美しさを手に入れた!あの生意気なメイドたち、干からびて動けない俺を屈辱したあいつら全員を贄にしてなぁ!」
ディビッドは頭の無くなった夥しい数の女性達の遺体を思い出す。
「そしてバレンティナの純潔散らし、真の力を得るのだ!」
そう言ったと同時にエスタバンの身体が変化する。
青緑に光る玉虫のような昆虫ような鎧を身に纏ったような大柄の化け物...悪魔ゼパルの姿となって。
『俺は愛欲の神ゼパル様だぁ!!!!生意気な女共は全員俺の贄となればいい!ギャハハハハ!』
ゼパルは高笑いをしながらディビッドに襲いかかるが寸前の所で攻撃を交わし、ゼパルに銃口を向ける。
「はっ!種無しになったからって○起できるようになりたくてゼパルみたいな悪魔に手を出すとか阿保の極みですね」
ディビッドは銃を撃ち込む、聖化させた純銀製の弾丸は悪魔によく効くからだ。
出来るだけ鎧のようになった場所の継ぎ目を狙う。
『ぎゃっ!痛ってえなぁ!』
「やはりその鎧は頑丈か...ならば!」
ディビッドは天井に銃を構えて聖典の一節を読み上げる。
『邪悪な者!神に逆らいし傲慢で強欲なる者!淫行に耽る愚かなる者よ!神は望まれた!天よりの裁きを身に受けよと!』
神罰の雷が発動し天井を突き抜けゼパルに紫色の落雷が大きな音を立てて落ちる。
『ギャアアアア!』
聖属性を帯びた電撃がゼパルの身体を襲う。
ゼパルの身体から黒い霧があちこち溢れ始めるたところに再度銃を向けて撃つ。
聖化された純銀製の弾丸は悪魔の動きを一時的だが止める事がで来る、どうやら痺れを発するらしい、悪魔そのものに聞いたことが無いから実際はどうなのかはわからないが。
『貴様!彼の神の司祭如きがぁ!』
ゼパルは術式を組み出し、ディビッドへ向かう。
『風の刃よ切り刻めぇ!ヴィントグリンゲ!』
風の刃がディビッドに襲いかかるがそれを守る様に何か多くの虫の群れがディビッドを覆う。
『強欲な者よ!その強欲ゆえに邪悪な企みをくわだてる者よ、その心を神は憎まれる!その者の所有物は全て蝗によって食い荒らされるであろう!』
大きな蝗の群れ、それがゼパルに襲いかかるとゼパルの鎧を噛み砕き肉を割く!
聖典にある神罰の一つ、蝗の災厄である。
『虫がぁ!虫がぁ!!!!!』
「貴様も虫の姿の癖に、虫が怖いとか笑えるな!」
銃を向けてニヤリと笑を浮かべるディビッド、ゼパルは傷口からじゅうじゅうと黒い霧が噴き出している。
『そこまででス!』
後ろから声が聞こえる...ディビッドが振り向くとそこには燕尾服を着、シルクハットを被った男がティナを盾に立っていた...
『久しいですネ』
「明けの明星...マキシムが倒されたか...」
ディビッドは眉間に皺を寄せる。
「ディビッド!ダメよ!そいつの止めを刺して!そいつ沢山の女の子達を殺したのよ!そのままにしちゃダメ!そんな奴この世界にいちゃダメなのよ!」
ティナが叫ぶ、明けの明星リュシフェルはニタニタと笑いながらティナの首に手をかける。
『銃を捨てなさイ、あと薬莢モ』
そう言われてディビッドは銃と懐の薬莢を地面に捨て両手を上げる。
「なんで?私となんてそんな長い付き合いでもないのに!そうよ!最初っからなんでそんな私に...」
ティナは泣きながら叫ぶ、ディビッドはニッコリと笑を浮かべた...まるで全く命が惜しくもないとでも言いたいように...
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