拐われてしまいましたわ!


いつの間にか眠ってしまったみたい...あれ?ここ私のベッドじゃない???


「起きたか?バレンティナ?」


「え!なんで!」


その声...その姿はどうしようもない阿保...じゃなくて見目麗しいエスタバン様。


確か1か月前にフールフールのせいでミイラになって種無しになった筈...しかもまだ療養中って言ってた...なのに以前の姿...いえ以前よりなんか艶々している気がするわ...


「はは、なんて顔してるんだ」


「だって貴方フールフールのせいでミイラになって種な..療養中だって公爵が...」


いけない種無しなんてはしたないわ...ディビッドに影響されちゃったかしら...


「ああ、父上め俺を廃嫡しやがって...まぁこの力とお前がいれば再度登りつめられるってコイツが言うものだからな!」


エスタバン様の周辺に何か黒い霧の様なものが纏う...フールフールの時に見たような霧だわ!


『初めましテ、バレンティナ嬢...ワタクシ『明けの明星』リュシフェルと申しまス』


燕尾服とキッチリ身につけシルクハットを被ったプラチナブロンドのとても美しい男性で青い瞳はサファイアのよう。


「何者よ!貴方!それにエスタバン様、私達は婚約破棄したのですよ、再度私と婚約したとしても廃嫡は免れませんわよ!それにビビアナの正体が男爵でその男爵本人と良い感じになってた訳でしょ?気持ち悪い!」


ただでさえ浮気でキモいのに相手が見た目がビビアナだったけど実際はあのキモい小太りな男爵でそんなのと身体の関係があったなんてキモ過ぎて無理!


「ビビアナの件は言うな!」


どうやら逆鱗に触れた様で私の髪を掴んできた!


「辞めて!痛いっ!」


「このまま俺にいやらしく犯されろ!性格は生意気で嫌いだったがお前の見た目と身体にはいつもゾクゾクしてたからなぁ!どう犯して泣かせたら愉快だろうっていつも思ってたぞ」


「な!嫌!やめてっ!」


無理矢理エスタバン様が押し倒してキスしようとしてきた!嫌嫌嫌!!


そう思った瞬間雷が発生した様にバチンと音がしエスタバン様が後ろに吹っ飛ぶ。


「え?」


『ああ、バレンティナ嬢は聖化した食物を継続して口にしてますネ...暫くは無理でス、エスタバン』


「ちっ...」


吹っ飛ばされたエスタバン様が起き上がる。


『1週間くらいで聖化が消えますからその時のお楽しみとしましょウ!』


「分かった...まぁせいぜい1週間怯えて過ごせば良いさ!ははは」


そう言って2人は部屋を出て行った。


きっと何処かの屋敷...公爵の別荘の何処かなんでしょうけど外が見えない様にされてる所を見ると、誰かを匿ったりする為の部屋なのかしら...


扉には鍵がかけられている...一応トイレやお風呂もあるしでもご飯はどうなるのかしらね...着替えがクローゼットに入ってるけどうっわ...何この紐みたいな下着...何も隠せないじゃない...しかも用意されてる服がネグリジェしかないしほぼスケスケなベビードールとか...いくら思春期だからってドン引きだわ...でも種無しになった筈なのにおかしいわね...それこそさっきの『明けの明星』って奴からフールフールみたいな悪魔の力でも手に入れたのかしら...


「困ったわ...誰か助けに来てくれるかしら...」


腐ってもエスタバン様は公爵家の人間、下手すると人1人消すくらい造作もないかもだし...ディビッド...ってなんであのなまぐさ司祭が助けに来てくれるとか思っちゃうの...もしかしたら私...重症なのかしら...


あとエスタバン様に襲われた時聖化した食べ物のおかげで助かったけども聖化された食べ物...あ!ディビッドの作ったお菓子!何かあったらって思って食べさせてくれてたって事???やたらと口に放り込まれていたけどそう言う事だったんだ!


あちこち見たけど脱出は不可能そう...仕方なくベッドで横になる。


「ディビッド...花嫁花嫁言ってるなら責任とって助けにきてよ...」


何だか無性に会いたい...なまぐさ司祭のくせに...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る