第89話 2歳編㉓
翌々日以降、僕とゴーダン、ドクは、各養成校を回った。
旗頭を替えて、結界の起動実験をする。そのための許可にかかった時間は各校によって様々。最初は、ドクのところの魔導師養成校なのは当然として、次が治世者養成校なのは、意外外だったかな。なんかお役所仕事的な感じで遅いかと思ったら、慎重な判断を素早くすることが認められる以上、他校に遅れを取るわけにはいかない、ということなんだって。次に剣使養成校。後の2校は1週間以上待たされたよ。
でもまぁ、旗頭交換の依頼書と入校許可証は理事長の王様名義で出ていたから、案外中にはすんなりと入れたよ。僕に対してはちょっと変な目で見られたけどね。まぁ、仕事場に2歳の子を連れてきた、いかつい冒険者ってのはね・・・
本当はゴーダンだけで回るつもりだったんだけど、ドクが結界の起動式を僕に見せたい、と言ってたから、僕も付き合ったんだ。起動するにはそれなりの魔力を流すんだって。一応、王族の関係者とか、騎士のエライ人とか、各学校のトップとか、そんな人の中で、いざというときに結界が張れる、て人は、起動方法を知っている。逆に言えば、ごく限られた人しか知らないから、僕に覚えて置いて、ということらしい。各校ごとに違う場所、形で、魔力を注ぐところを作ってるんだって。それを全部知ってるのは、さらに絞られた人、だけらしい。
そんなの僕が知ってていいの?と聞いたら、王様の指示なんだって。う~ん、あんまり取り込まれたくないけど、今後の商会の許可を考えると、ごねるわけにはいかないのかなぁ、と思ったので、とにかく2歳児らしく、ドクに抱かれて念話でご教授願ったよ・・・
養成校の様子?ほんの一部しか見れなかったけど、校舎とかは似てるのに、全然雰囲気が違う、とだけ、言っておくよ。
そうこうして過ごしているうちに、僕用の魔導具が完成したよ。
本当は、ブレスレットかアンクレットでお願いしてたんだけど、僕が小さすぎるから無理だったんだって、くすん。
で完成したのは、ベルト、だったよ。将来僕が大きくなったらブレスレットでもアンクレットでも替えたら良い、ということなんだけど、この魔導具を作るのに、でっかい魔石をバックルに仕込んだんだ。
一般的には魔石は魔導具を使うために消費される。でも今回のは、逆の発想、ていうかリサイクル的な発想?
魔石は魔力をため込める性質がある。そして、魔導具はため込んだ魔力を引き出す回路を持った道具と思えば良い。
ドクは僕のために、魔石に僕の魔力を吸わせることによって、外に漏れ出て見えるのを防いだんだ。今まで通り僕の体から魔力は溢れていくけど、その溢れたしりから魔石に吸わせることによって、一見、この溢れているのが見えなくなる、という仕組み。そして、すごいのは、この魔石に貯められた魔力を使うことも出来るってところ。僕が魔力切れにならないように、魔力を使ったら、勝手に魔石から僕へと充填がされる。てことは、これ、満タンにしてたら、魔力量が倍あるのと同じだよね。
しかも、この魔石は取り外して替えられるようにしてくれたんだって。石の大きさはある程度決められるけど(デカいから高価だしね)、言ったら魔石の数だけ魔力をとっとける、という優れものだったんだ。
このでっかい魔石を使うことと、魔石の入れ替えが出来ることが新作=改訂版の目玉、らしい。ちなみに、この魔石に詰まった魔力を使用できる魔導具をいろいろ作っていこう、というのが今後の方針だとか。これは乾電池から発想を得た、らしくて、前々から考えてたんだけど、魔力を充填するための魔力量を確保できずに止まってた研究だとか。僕という魔力が多くて困ってる人を見つけて、ドクも嬉しいって。Win-Winで良かったよね、と笑い合ってる僕とドクを見て、何故か頭を抱えていたゴーダン。
なにはともあれ、王都での用事も済んだ。
僕らも、トレネーへと帰ろう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます