第4話 生後3ヶ月編①

 季節が進み、ちょっと涼しい日が増えてきました。もっと寒くなると、おうちのすきま風が不安な今日この頃。

 やっと、僕も首が据わりました。視界、聴覚、その他5感も発達し、世界が感じられるようになりました。とにかく寝っ転がっているだけなので、起きている間はいろいろ観察したり、考えたりしています。今一番考えること・・・

 これっていわゆる異世界転生、だよね?

 前の、というかこの意識の「僕」は色々知っている。僕は現代日本で生きていた。で、ここにいるってことは死んだ、のかな?

 正直言って、ほぼ記憶はない。

 僕がどこの誰として生きて、どうやって死んだのか・・・・

 なんとなく、読書がすき、っていうか活字中毒で、フィクション、ノンフィクション、ジャンル関係なく、目の前にあれば本であれネット上であれ、活字に食いついていたのは覚えている。特に、読んだことのない本を片手に、一人キャンプで星空の下、たき火で暖をとりつつコーヒーを飲むのが至福の幸せ・・・て、僕、ひょっとしてぼっち、だったの?

 ぼっちが悪いと、とは思わない、思わないったら思わないんだからね!孤高、という奴だよ、たぶん・・・

 いや、マジな話、友達、というか知人とか周りに人はそれなりにいた、と思う。そして、それをちょっぴり煩わしくも思いつつ、適当にあしらっていた、ような気が・・・

 そんなことは、どうだっていい。とにかく多読の僕が前世で知識を無駄にためていたのは間違いない。そして、今、それが役に立っていそう、てことも。


 この3ヶ月。僕がとりあえずやったことは、まず言葉を覚えること。念話でなければ話ができない、なんて大変すぎるし、結構これきつかったりする。

 なにがって?

 この念話、僕は最初のことから念話っていってるけど、どうやらいわゆるテレパシーってやつみたい。人が思ってることを感じ取れる、的な?

 一見よさそう?そう思う?

 ちょっと自分を振り返ってみ。

 人に知られたくないこと、考えてることない?思考がぼんぼん飛ぶことない?言葉にならない感情で心がざわめくってことない?

 ま、そういうこと。

 特に僕の場合、まだ言葉が分からないから、生の感情をどばっと感じちゃう。理論的に思考してくれてるときはいいんだけどね。

 ある人に注意を向けると、どばどばその人の感情が流れ込んじゃう。けっこう、黒いよ。吐き気がするときもしょっちゅう。

 で、だいぶ力のブロックができるようになりました。まずバリアをはって、その人の感情が流れ込まないようにするんだ。相手のプライバシーも守れるし、一石二鳥だね。これができるようになって、少し体調が良くなった感じ。

 でも、僕に対して感情丸出しにされると、正直対処できない。

 ママ、はいいんだ。あるのは100パーセント愛。僕たち相思相愛。あと、おばさん。あ、ママはミミっていって、おばさんはアンだって。そして僕がダー。この世界でも前世でも名前は長い方がエライ。ハハハ・・・


 僕に直接感情を向けてくる人は、2パターンいる。

 ママやアンみたく、かわいい!て赤ちゃん愛でる人。実は愛でてる私かわいい!とか、赤ちゃんに優しい自分はいい人でしょアピールの人は結構いるけど、ま、実害ないし、こっちに利益あるから、許す。 

 もう1つは、このやろって睨む人。ママは何気にかわいいので人気者。でも13歳だって。最近知った。そんな人気者のママにお乳をもらう僕。好き好きとハグされる僕、キスされる僕。それに嫉妬して、僕をねたみ憎む奴ら。ておい、こっちは実子かつ赤ちゃんだぞ。意味分からん。しかも結構おっさんじゃん。おまえらロリコンか?そういう奴らは考えることは1つ。このガキ、くたばれば良いのに!いやいや、マジどす黒い感情で殺されそうだわ。僕はげっそりする。この直接の感情は今のところブロックできん。ま、ほとんどアンおばさんが気づいて、実力行使で追いやってくれるけど。実はこれも逆効果だったりするんだよね。アンおばさん、姉御肌で女性人気抜群、なだけでなく、相当な美人さんで男人気も上々。人気者二人に愛されまくって、僕、どうやら男の敵、だそうです。意味分からん・・・

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