▲▲つ14っ!おはようは、まふぃんちゃんのおと

 「!」

 さて、そんな俺を起こすのは。

 朝の光か?だけじゃない、戸口を叩く音。

 それほど経っていないとつい思ってしまうが。

 《おはようございます。現在朝の6時50分を回りました。睡眠時間、約9時間。天気予報、晴れ。気圧の変化も大きくなく、今日は穏やかでしょう。今日の占い……。》

 「……。」

 ああ、ついでに漏れ聞こえる音声もあって。

 枕元のバックパック、その中にある盾がそう告げる。 

 音声から、睡眠時間を告げてくれるなら、どうも結構寝ていたと思えて。

 しかし、だ。

 これは、気になることでもない。

 むしろ、モニターしてくれる、ありがたいのだから。

 気になるのは、もっとやはり、戸口を叩く音。

 「……ありがとう。……けど、ううむ、デジャヴ。」 

 盾の音声には感謝しても、戸口の音には、デジャヴを禁じ得ない。 

 朝の静けさに、俺はそっと立ち上がり、招かれるように戸口を目指した。

 「はぁ~い。開けるよぉ~……。」 

 少し、寝ぼけ気味の声を出しつつ、戸口に手を掛け、開き放つ。 

 「……ちょっと……。」 

 「……あ……やっぱり。」 

 誰だろうか。

 開いた先にいたのは。

 朝の心地よい光に照らされて、ただでさえ美しく輝く長い髪なのに。

 余計に美しく輝く女の子がいた。

 マフィンである。 

 ……ただし、心地よくこちらの応対してくれているわけではない。

 むしろ、訝し気に俺の様子を見た。

 デジャヴ的中。 

 前にもあったけど、朝早くマフィンが訪ねてきて。

 その際、同じように応対しちゃってさ。

 その時も、こんな感じに……。

 「……はぁぁぁ。前もそうだったけど、あなたねぇ……。いつもアビーと暮らしているから、とうとうそうなってしまったのね……。」

 「……うぐぐ……。」

 だからか。

 マフィンは頭を痛めて、押さえ、呆れてしまった。

 そうなると、俺はぐうの音も出ない。

 「……ちょっと、ごめんね……。」 

 致し方ない。

 恥ずかしさもあって。いたたまれなさ多く。

 俺はちょっと断りを入れて、開いた扉をそっと閉じた。 

 「……。」 

 静かに閉めて、その恥ずかしさやらを閉じ。目を瞑り、心落ち着かせようとした。 

 「……あれ?大和ちゃん?どうしたの?おはよう!」

 「!……ああ、おはよう。」

 そうしていると、後ろから声が掛かり。 

 アビーである。

 見れば、今しがた起きたばかりで。 

 布団から身体を上げていても。

 眠気眼を擦りながら、俺を見つめて。やがて、にっこりと笑みを浮かべてきた。

 俺は、言われたならと、まずは頷いて、同じように挨拶を返して。

 「……その、マフィンが来ているんだ。何か、用があるかも……。」

 「!マフィンちゃんが?」

 「ああ、うん。」

 「!そっか!」

 続けては、起こったことを述べる。 

 すると、起きたばかりのアビーは、耳と表情を弾ませて。

 分かったような風を見せてきた。

 「……あうぅ、こんな姿じゃ、だめ、だよね?」

 「……あ、うん。」

 からこそ、また、もしこのような姿を目撃されたら。

 それこそマフィンから説教ものだとも気付いて、しょげて。

 俺は、それは予想できると頷いて応じた。

 まあ、確かに。 

 このままだと、マフィンから説教を受けかねない。 

 「……早く着替えよう。待たせると悪い。」 

 「!……だね!」 

 それと、待たせても説教を喰らうだろう。 

 俺は続けるなら、早く着替えようと提案。

 アビーは提案に乗り気だ、いつもの元気よい挨拶を返してきた。 

 アビーはその返事により、すっかりいつもの調子となり。 

 布団を退けると、アビーは飛び上がり、弾むように飛び。

 アビーは側に置いてある、無造作に置いてあった服をすぐ着込んだ。

 「……。」 

 すぐに元気になる様子から、アビーの調子はいつも通りだと思い。 

 俺もまた合わせて、服を整えて。

 おまけとして、バックパックを背負った。

 ……そうしてからの、テイク2。

 また、戸口に向かい、手を掛けて。

 「……お、お待たせ。」  

 「……ええ、そうね。」

 開くなら、外で待っているであろうマフィンに、声を掛けた。 

 外のマフィンは、おそらく待っていたであろう。

 やや不機嫌そうにも見える、腕組み、待つような様子を見せていて。

 やや、責めるような視線も向けていた。

 「……何だか、ごめんよ。」

 「……。」 

 「それと、おはよう。」

 「……ええ。……おはよう。」 

 そんな風だと、謝りたくもなる。 

 まずは、頭を下げて、続けては、朝の挨拶だ。

 最初こそ、マフィンは疑うことではないが、終始訝し気な様子で。 

 なお、挨拶には普通に返してきた。 

 「マフィンちゃん!おはよう!」

 なお、遅れて後ろからアビーが顔を出して。

 俺に続いて、同じように挨拶をしてきた。 

 しかし、俺とは異なり、らしい元気っぷりであるが。

 「……はぁ。まあ、おはよう。」

 マフィンは見て、呆れながらも返事する。

 アビーのらしい様子が相手だと、苛立とうにもどうしようもない。 

 マフィンは呆れた後、気分変わりに、口元に笑みを浮かべる。 

 「ねねね!マフィンちゃん!」

 「あら、なにかしら?」

 「今日はどうしたの?」

 「!」 

 マフィンがそうやって、笑みを浮かべたならと、アビーはすかさず聞いてきた。

 予定であり、見ていた俺は、そうだねとアビーに同意するように頷く。

 朝早くに、わざわざ訪ねてきたのだ、きっと何か用があるに違いない。

 でないと、おかしいと思う。

 マフィンの性格から。

 わざわざ遊びの誘いなんてのを、こんな朝早くに訪ねてやりにも来るまい。

 「そうそう。荷物が届いたからね、大和にって。」

 「!」 

 なぜに訪ねてきた、その理由、それは、俺宛に何かあるらしくと。

 マフィンは言われて耳を弾ませては、後ろに手をやって。

 軽く探すように手を動かしたなら、また前に手を持ってきた。 

 その手には、包みがあり、それも少し大きめの。ラグビーボールぐらいか?

 「……?」

 しかし、中身は分からない。シルエットさえ、曖昧な。

 なるほど、そこは開けてのお楽しみとでも言うのか。 

 見せられても、不思議に俺は首を傾げた。

 「はい。」

 「!……あ、ああ、ありがとう。」

 「……いいえ。どういたしまして。」

 不思議そうにしていると、マフィンはその手にした荷物を押し出してきて。

 俺は、頷いてお礼を言っては、それを受け取った。

 マフィンは、お礼に頷いて。

 「……ところで、これ何?」 

 そんなマフィンに、俺は聞いた。

 「……ごめんなさい、私も見ていないわ。」

 「!……あ、はぁ……。」

 「……そもそも、あなた宛よ?見ちゃダメでしょ?」

 「……だね。ごめんね、悪いこと聞いちゃった。」

 「いいわ。」

 が、マフィンの回答は、分からないと。

 そうだとすると、俺は困ってしまうものの。

 つまりは中身を見ていない。

 それも俺宛のため、覗くと悪く。それもそうだねと、俺はつい頷く。

 マフィンみたいな人なら、覗こうとはしないね。

 愚問だったかもと謝りはするが。

 そこは気にしていないとマフィンは首を横に振った。 

 「!じゃあじゃあ!」

 「!」

 そんな、中身が分からないというならと。

 後ろにいるアビーは興味津々とその手にした物を覗き込んできて。 

 「開けてみようよ!」 

 「!……まあ、だね。」 

 「そうね。私も、一体何が届いたか分からないし。ああ、危険物とかじゃないわ。」

 「?……何で?」

 アビーは提案するなら、それこそ、ここで開けようと。

 俺もそうだと思い。

 マフィンも追従してきた。

 ……きたが、少なくとも危険物じゃないとは言ってくれる。

 聞いて俺は、何でと首を傾げた。

 「……それは、まあ。送り元が〝リオンキングダム〟ならね。」

 「!!」 

 その判断の理由に、マフィンはある単語を言ってくる。

 それには、つい驚いてしまった。 

 その単語。 

 〝リオンキングダム〟。

 俺は、つい弾ませて。

 「!!シンちゃんの!」

 アビーも弾むような感じで同じように言ってきた。 

 2人して思うこと、それは。

 〝リオンキングダム〟、ライオンの人の王国。

 帝国の残党軍に占拠され、俺たちに助けを求めてきた。

 そして、俺は戦い抜いて、解放した場所。

 また、同じように旅をしてきた人と、別れた場所。

 ちなみに、〝シン〟というのは、そこの王子だ。 

 「……。」

 マフィンから聞いて、久し振りの単語にそっと。

 懐かしさ相まって、笑みが口元に浮かんできて。

 期待だって、大きくなる。 

 「……一体何だろうね。」

 「きっと、素敵な物だと思うっ!」

 つい、アビーを見て、聞いてみた。  

 アビーもまた、同じように期待して。示すように、素敵な物だとも言ってくれた。

 「……だといいね。」

 俺も、アビーに当てられて、笑みを浮かべて。

 その手にした荷物の包みを丁寧に解いていく。 

 包みを拭っていき。   

 その荷物がやがて白日に晒されて。

 「!……?」

 見れば、手持ちの細い懐中電灯みたいな代物であった。

 それなら、がっかりしそうな物だが……。

 ただし、単純に真っ直ぐな形とも言えない。 

 その、光が出そうな場所の傍に、小さい口があり。

 何だろう、俺はつい首を傾げてしまう。

 「……!レーザーセイバー!」

 「!!」

 答えはマフィンが告げる。

 まじまじと、俺が解く様子を見て、出てきた物を見ては。  

 マフィンは珍しそうに声を上げたのだ。 

 ……その単語で、確かにと思う点はある。 

 よく使うレーザーセイバー。

 レーセは、一見すれば懐中電灯みたいな見た目であるから確かにと。

 だが、マフィンの上げた物珍しさという感じには、程遠い。

 「……レーセ?でも、そんな珍しくは……。」

 つい、聞いてしまう。

 まあでも、レーセであっても嬉しくはあるけれど。

 「あなたは知らないでしょうけれどね。」 

 「!」

 「これ、古い形式のレーセよ。あ、でも物自体は古くないわ。むしろ、磨き上げられていたりして、これは新造品ね。」

 その様子に対してマフィンは。

 言ってくれると、〝古い形式〟のレーセらしいと。

 ただし、物自体は新しいが、とも。

 「……ちょっとよく見せて。」 

 「!……あ、うん。」

 それが気になるか、マフィンは一言告げては、代わりにレーセを手に取る。

 俺は頷いて了承しては。 

 マフィンは、手にすると、余計に満遍なく、レーセの全体を見始める。 

 「!!リオンキングダムの〝王家の紋章〟?!」

 「?!……何だって?」

 ある一点、そうレーセの柄の、握りて中心を見た時に。

 マフィンは驚きの声を上げてきた。

 頭の中で反芻したが、……何だと、と意味がよく分からず、俺はつい首を傾げた。

 「?何それ、すごいの?」

 同じように見ていたアビーは、代弁してくれた。

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