第40話 帝国との同盟協定会談(後編)

 両国共に互いの国に侵略をしない。他国から侵略行為があった場合、要請があれば援軍を送る。貿易の際の関税を引き下げる。そして王国から帝国へは、生活物資などの支援、帝国から王国へは、工業技術の提供が約束された。


「今回の会談で、決めることは、ここまでにするか。あとは、お互いの国が不況になったら融資をすることとかが、それは、どのくらいの金額を融資するかや限度額を決めるには、こちらでは話がまとまってなくってな。

今後、また会談の場を設けるということでどうだろうか。」


「はい。それでお願いします。新体制が発足して日が浅いので、こちらでもまとまっていないことがありますので、ありがたいです。次は是非とも帝国で行いたいですね。

ミュゼルバ王国の皆さんにも帝都の街並みを見ていただきたいですからね。

 私どもは、今回、ミュゼルバ王国の王都の街並みを少しですが、見させていただき、民が笑顔で生活されていたので、帝国もこのような民の笑顔の多い国を目指そうと話しておりました。」


「誉めていただきありがたいですな。人種や思想が違ったりするので、戦争は世界のどこかで必ず起きていて、なくなることはないのかもしれませんが、平和で民の笑顔が絶えない国作りが私の目指すミュゼルバ王国ですから、今回のことで、自身のことしか考えない愚か者が大分減りましたし、長年、敵対してきた帝国と同盟を結べたので、一歩目標に近づけました。

私の代では無理でしょうけど、息子の代、孫の代で、一歩一歩でも私の目指すミュゼルバ王国になっていけばと思っております。」

「王太子も今年のうちに婚姻して、早く孫の顔を見せてもらいたいものです。」


「全くです。帝国では、聖女と婚姻する風習があるのですが、今回の聖女は、平民なので、血統主義の国でしたので過去と同様に皇太子以外の皇子という事で、第二皇子だった皇帝陛下の婚約者となったのですが、とても仲が良く、聖女の役目があと数年はあるのでお子は難しいですが、婚姻だけでも早く済ませていただきたいと思うのです。

新たな帝国の象徴となるでしょうからね。」


 国王陛下が私とレノンに早く婚姻してほしいことを話すとカエタール宰相殿も皇帝に早く婚姻してほしいと言い出した。

 王国では、聖女と王家の婚姻は過去にあったりしたが、帝国のように風習ではないからね。

 ランに側妃って話を私がしたので、側妃として婚姻すれば、王家と聖女の婚姻になるんですわね。


「確かに。カエタール宰相殿の言われるとおり、血統主義、貴族主義から平民も登用していく新たな帝国では、皇帝と平民の聖女の婚姻は新たな帝国の象徴になるでしょうな。」

「聖女様もお連れに鳴られているのでしょう。あと数日、王国に滞在されるとのことですし、聖女様と一緒に王都を散策されてはいかがですかな。」


「はい。聖女は、王国の神殿で、王国の聖女様と会われていたすから、明日にでもそうさせていただく予定なのです。」


「そうですか。では、レノン、ソフィア、ラルフとマリーと一緒に皇帝と聖女様を王都をご案内しなさい。」


「「わかりました。」」


 国王陛下……皇帝陛下と婚約者の聖女様と一緒に王太子殿下と王女殿下とそれぞれの婚約者が王都を散策とか大丈夫なのですか。それ……


「トリプルデートですな。それぞれの仲がよいところを見たら更に仲が深まり婚姻の決心がつくかもしれませんな。」


「おお、カエタール宰相殿もそう思われるか。」


 国王陛下とカエタール宰相殿が意気投合している。


 後半は、また緊張感のあまりない和やかな話をして、会談が終了しました。

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