第38話 反逆貴族たちの処刑

 帝国との戦争終結から2週間が経ち、現在、アルト男爵たち反逆貴族以外の全貴族家の当主が謁見の間に集まっている。


「罪人たちを連れて参れ。」


 国王陛下の一言で、逃げ出せないように縄で縛られたアルト男爵たち25名の貴族だった罪人が騎士に連れられてきた。


 処刑になるのは、24名の当主、カヤック侯爵の令息、アルト男爵の夫人の計26名です。


 いよいよ。反逆貴族たちを謁見の間に連れてきて処罰が始まるのですね。

 まあ、この場にいるものは、26名全員が処刑となることは、わかっているのですが、連座がないことは、一部の者しか知りませんから多くの貴族家がお取り潰しになると王国がどうなってしまうのかと不安に思っている方ばかりですね。

 24人の貴族家当主が関わっていますから、王国の貴族家の半数近くですからね。これでもしも連座があれば、新たに貴族に叙爵するにしても数が多いですからね。現実的ではないので、その気持ちはわかります。


 証拠もありますし、現行犯なので、牢に入れられていただけで、尋問や拷問されたりしていないので、皆さん、罪人にしては、怪我もなくきれいなものですね。

 でも、この後、斬首刑になるので、首と胴が分かれてるのですけどね。


「その方らもわかっていると思うが、処刑となるとだが、何か言いたいことはあるか。」


「「「……」」」


 皆、何も発言しないなと、思っていると男爵夫人が疑問を話し始めました。


「あの処刑は、この場にいる私たちだけなのでしょうか。反逆罪は、連座が適用されると思うのですが、なぜ、当主以外にいるのが、私とカヤック侯爵の令息だけなのでしょうか。」


「そうだ。何で、俺と男爵夫人だけなんだ。連座でみんな処刑だろう。」


 牢を見張っていた兵士に処刑される者は、当日に謁見の間に呼ばれると噂話をさせたりしたから、他に処刑される身内がいないことが気になったんですわね。


「確かに反逆罪は、重罪で通常なら連座が適用されるが、数が多いことと愚か者とはいえ伯爵以上の貴族家も多いから、連座をしてしまうと王国内が混乱してしまい、他国に隙をつかれかねないのでな。それに当主だけで、他はこちらに協力する者ばかりだったからな、連座はせず、今回のことに関わった身内のみとしたのだ。すなわちお前ら二人だけが、当主以外で処刑となるわけだ。わかったか。」


「「グググゥ……」」


「クソ」


 発言はしなかったが、夫人だけでなく、アルト男爵もランやキーンも連座で処刑されると思っていたのでしょう二人は悔しそうに唸ってます。

 侯爵令息のマッドは、自分を捕えた同僚が連座で処刑されると思っていたのでしょう。

 牢の中で、お前たちも道連れだざまあとか思っていたのでしょうが当てが外れて悪態をとってます。


「他にはないようだな。」

「では、民たちが集まっている広場に連れていき、処刑を執行しろ。」


「はい。かしこまりました。」


 国王陛下の命令で、罪人は、王城から広場に連れていかれ、次々と公開処刑されていった。


 今回の件で、跡取りがおらずなどして、お取り潰しになった貴族家は、跡取りの息子も処刑されたアリナシーヤ侯爵家、ランとキーンが正式にクロイスラー子爵家の養子となったので、跡取りのいないイヤシキーヤ男爵家のみだった。

 アリナシーヤ侯爵領は王家直轄領となり、イヤシキーヤ男爵領は、隣接していたこともあり、クロイスラー子爵領となった。

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