第23話 ラルフとマリー
元父のサイ公爵と元母の公爵夫人が処刑され、クライシス公爵家がお取り潰しとなり、叔父様が陞爵され、侯爵から新たな公爵となられてから一月がたった。
その間にサイ公爵派閥に属していた貴族達が処罰されたり、ラルフとマリー王女殿下の婚約も発表された。
ラルフとマリー王女殿下の婚約に反対する貴族、更に私とレノン王太子殿下の婚約を取り消せという貴族もいました。
まあ、罪人の息子と娘が王族の婚約者って理由で反対という意見の貴族がいましたが、それは予想できたことですし、事実ですから仕方がないです。
それに、それを理由に反対していた貴族たちは、実は賛成派で、国王陛下からの命令で、反対だと言っていただけでしたのですから、違う理由で反対すり貴族たちが発言しやすいように
違う理由で反対の貴族たちそれは、元モルモート派閥に属していた貴族で、一部領地没収や罰金で済んで、処罰後も当主のままいられた貴族と元サイ公爵派閥に属していた貴族たちです。
元サイ公爵派閥の貴族の処罰は、一部領地没収か罰金だけで済んだので、処罰後も当主のままだったのです。
そして、そのかつての二大派閥に属していた貴族達が反対な理由は、私やラルフを王族の婚約者から外し、自分の息子や娘を王族の婚約者にしたいからのようでした。
そんな罪を犯し、処罰された親を持つ者よりうちの娘をとか息子をとかまったく隠す気もなく叫ばれてましたから……
「罪を犯し、処罰を受けた親を持つ二人は、王族の婚約者として相応しくないと聞こえだが、そなたらも、処刑や国外追放や爵位没収など重い処罰でなかったから貴族家当主を続けられているだけで、処罰は受けたであろう。忘れてしまったか。そうなるとそなたらの子供らも相応しくないということになるのだが、何か言いたいことあるか。」
「……」
まあ、国王陛下のこの言葉で皆さん黙ってしまいましたけどね。
「何も言いたいことは、ないようなので、先ほど言った通り、ラルフをマリーの婚約者とする。」
こうして、二人の婚約も公式に決定しました。
ただ、問題がありまして、今もそうなのですが、二人が会うのにラルフは、私をマリー王女殿下は、レノン王太子殿下を必ず同席させ、婚約者同士で話すより、ラルフは、レノン王太子殿下の隣に座り、マリー王女殿下は、私の隣に座り話す時間の方が長いのです。
二人で会ってもいいのになぜでしょうかね。
「ソフィアお姉様、私は嬉しいです。」
「何がでしょうか。」
「ソフィアお姉様の義妹になれることがです。」
「この前も聞きましたよ。マリー王女殿下。」
「はい。この前も言いました。そして、義妹なのですからマリーと呼んでくださいとも言いましたが、相変わらず王女殿下のままです。」
「それは、仕方がないでないか。マリーは、まだ嫁いでないのだから王女のままなのだしな。」
「レノン兄様、ソフィアお姉様は、王太子であるレノン兄様の婚約者なのですよ。次期王妃になられるのですから問題ないと思います。」
「それに、レノン兄様は、ラルフに兄上と呼ぶように言って、ラルフからレノン兄上と呼ばれているではないですか。レノン兄様だけズルいです。」
そうなのです。ラルフは、はじめのうちは、躊躇って、王太子殿下と呼んでいたのですが、何回か会ううちに嬉しそうな笑顔で、兄上と呼ぶようになったのです。
そんな弟がいるので、私が折れるしかないように思ってしまいました。
「マリー、これでいいですか。」
「はい。ソフィアお姉様。」
私が呼ぶと今までにないくらいの笑顔で返事が返ってきました。
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