ブリッツ ~血(オイル)を求めるヴァンパイアを倒すもの~

くーげるフィッシャー 様作


【あらすじ引用】

環は自動車整備士として働く車を愛してやまない男。

 しかし、父親が昔、環とトラブルがあった女性と再婚することになる。

 彼は自分の部屋を借りるために、愛情と有り金を注ぎ込んだレース用にチューニングした自分の車を売ってしまう――ただし、売れるパーツをばらして売り払い、ノーマルに戻した状態で。

 そのまま車を買わないままアマチュアレースからも遠ざかる日々を過ごしていたが、レースにでた顧客の車が大破して持ち込まれるようになる。

 ヴァンパイアと呼ばれる車がからんだクラッシュが原因だと告げられ、かつて自分が倒した相手が挑発していると知る。

 そんな中、売れっ子ミュージシャンである鈴音が環にレース用のチューニングを依頼するために、かつての自分の愛車を持ち込んできた。

 環は毎週仕事で大阪に来るたびに工場へと足を運ぶ鈴音に、親しみを感じるようになる。

 だが彼女は女癖の悪い俳優に言い寄られており、関東でも屈指のアマチュアドライバーのその男を避けるために、東京在住にもかかわらず関西のレースに参戦することになったのだ……。


 この物語は環がブリッツという車を手に入れ、再びレースに戻るまでの軌跡を描いたものです。


【物語は】

夢の中であるお告げを受けた男が、サーキットを作るところから始まる。それは出来上がるまでに数年を要した。このサーキットは本編にどう関わってくるのだろうか?


本編が始まると、この物語の重要人物の一人が登場。彼女は主人公の、この先の人生に影響を与えると思われる。

そしてもう一つ、彼の人生に影響を与えた出来事。それは父の再婚。このことにより、彼は愛車を手放すこととなる。自ら選択したこととは言え、身を切る様な想いだったろうと想像がつく。

大切なものを失った彼に、この後どんな運命が待ち受けているのだろうか。


【物語の魅力】

主人公の現在の状況よりも前から、物語は始まっている。それにより、これからどんなことが起きるのだろうか、という読者の好奇心を刺激する。


本編から主人公の視点となるまでの間に、別の人物から彼の過去の一部が明かされていく。少しづつ、主人公がどんな人物なのか分かっていく流れである。

主人公には、父の再婚相手との間に何かトラブルがあったことも明かされている。そしてこの再婚こそが、主人公が愛してやまないものへの決別と繋がる。


父の幸せを祈り選択したが、パーツをばらし、ノーマルに戻しから手放すという手間をかける行為は、情熱を諦めきれていないとも受け取れる。それが例え、自分では気づいていない潜在意識や深層心理であったとしても。

恐らくその気持ちがあったからこそ、ブランクがあってもレースに戻ることが出来たのではないだろうかと想像する。(熱が冷めてしまっては、戻るのが難しいと想像する)


だがこれは、物語の始まりでしかない。ある女性、そして車との出会いが真のターニングポイントなのではないだろうかと感じた。


【登場人物の魅力】

主人公は、車やレース以外に興味を持っていないようだ。その事が後に、面白さもプラスしていく。レースに情熱をかけていた彼は、父の再婚を知り大切なモノを手放す。父の再婚相手が、以前トラブルのあった相手でなかったとしても、彼は父の幸せを願ったのではないだろうか。それと家の間取りや広さからして何人で暮らすには手狭だ。主人公が家を出ることになるという選択肢は、どの道変わらないと思った。


彼の父は、主人公が大切なモノを手放したことにより、罪悪感を抱えているように感じる。事情を知らない父はがそうなるのも無理はない。しかし子は遅かれ早かれ、いずれは旅立つものだ。この関係や状況は、変えられないの運命なのかも知れない。


主人公が、愛車を手放した後。

彼を頼り現れる人物には謎が多い。

彼女についてはゆっくりと明かされていくのだろうと思われる。


【物語の見どころ】

事情により一度愛車を手放し、再び車を手に入れてレースに出るところからが真の始まりなのではないだろうか。

主人公がレースから身を引いた後、レースには良くない噂が流れているという。それについて詳しく知るのは、ある女性がチューニングの依頼にやって来た後のこととなる。彼女との出会いは、主人公に何をもたらすのだろうか?


彼女の車をチューニングすると決めてから、詳しく知ったある事件の内容。

それは”レースにでた顧客の車が大破して持ち込まれた”その経緯についてである。その事により事態は変わる。何故なら主人公は、”かつて自分が倒した相手が挑発している”ことに気づくからだ。だがそのことに憤りを感じても、今の自分にはどうすることも出来ない。主人公は、どうやって道を切り開いていくのだろうか?


あなたも是非、お手に取られてみませんか?

主人公はどうやってこの事件に決着をつけるのだろうか。

その目で確かめてみてくださいね。おススメです。

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