改造人間女子高生

@portability07

プロローグ いきさつ

五年前、田舎とも都会とも言えない私達のこの街で誘拐事件が発生した。

被害者は当時小学生五年生だった少女四人。ほぼ同時刻に四人の少女が突如として行方不明になった為、警察は誘拐事件として捜査を開始し、その手は全国に及んだ。

しかし必死の捜査も虚しく二週間が経っても少女たちの居場所どころか目撃情報、手がかりすら見つけることはできなかった。ニュースでは連日、どんなに小さなことでも少女たちに関する情報を寄せるように呼びかけが行われた。

誰も口にはしなかったが誰もが思った。『もう生きてはいないだろう』と。少女たちは見つからず、犯人から家族への要求もなく、営利誘拐ではないと結論付けられたものの、一向に捜査に進展はなかった。

そのまま月日は経過し、少女たち四人が行方不明になってから約一ヶ月後。一本の通報によって事件は唐突に終結を迎える。

「公園に、多分あの行方不明だった女の子たちがいるんですけど」

夜の公園を散歩していた老人がベンチに四人並んで座っていた行方不明の少女たちを発見したのだ。四人とも座ったまま眠っていたらしい。

生存が絶望視されていた少女たち、一ヶ月ぶりの奇跡の生還。当時の報道はそのニュースで持ち切りだったそうだ。少女たちは誘拐されていた間のことをまったく覚えておらず、犯人こそ五年経った今でも逮捕されていないが、大切なのは少女たちが無事に帰ってきたことだった。私も四人の中に友人がいたので、彼女たちが見つかったと聞いたときは心底ほっとしたのを覚えている。

しかし少女たちは無事ではあったものの『ただ』で帰ってきたわけではなかった。とても信じられないことだが、彼女たちは身体を改造された状態、つまり『改造人間』になっていた。と、言っても別に仮○ライダーになっていたり、手足がロボットになっていたり、恐怖の武器人間になっていたりした訳ではない。まず見た目的な変化点を上げるのなら、色。一人を例に上げればその子の髪と瞳が真っ赤になっていた。もちろん彼女は日本産まれ日本育ちであり、誘拐前は標準的な黒髪、目は茶色というどこにでもいる小学生であった。まぁ髪と瞳の色が変わった、程度ならば『改造人間』と呼ばれるほどでもないのかも知れない。しかしあくまで見た目上は、の特徴であり、彼女が改造人間と呼ばれる真価は別にある。よくよく見てみると分かる、彼女の首と二の腕、そして太ももあたりにあるギザギザの『切り取り線』。なんと彼女はその切り取り線から首と手足と胴体を分離することが可能になっていた。しかも胴体から離れているはずの手足も彼女の意思通りに動かすことができ、彼女自身まったく痛みも違和感も感じないというのだ。彼女は首だけになっても喋ることが出来て、肺が繋がっていないはずなのに息もできる。明らかに現代の常識の範疇を超えていた。他の三人も出来ることは違うがただ一つ、現代の人間の科学力では説明できない様な力を携えているという点では一緒だ。

だけど、彼女たちの改造人間どうこうとかいうことは私にはよく分からないけど、一つだけ確信を持って言える。

彼女たちは、改造人間である前に女子高生なのだ。どこの誰とも変わらないごく一般的な少女たち。これは私の物語ではなく、そんな改造人間で女子高生の、あるいは女子高生で改造人間の彼女たちの物語だ。

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