奴隷商人は旅をしたい
@anchovy777
プロローグ
ニ―フェリア帝国とキャノラン公国との国境沿いにある街セーラン。ここは奴隷産業で発展してきた街だ。古くは戦争奴隷の収容所があった事が始まりで、今では公国の貴族連中を相手に奴隷を売っている。買われていく奴隷の今後は大体決まっており、男は貴族の下で死ぬまで働き続け、女は性的玩具として扱われるのがオチだ。運が悪ければ悪趣味な貴族の実験動物になる事もあるだろう。
この街には日々新しい奴隷が入ってくる。戦争奴隷も居るし、どこかからか誘拐されてきたものもいる。性別種族はバラバラで、年齢は男ならある程度成長したものを、女なら育ち盛りのガキが連れてこられる。老人は価値も無いのであまり居ないが、魔法を使える奴は高く売れる。
奴隷販売は国際的には禁止されているものの、何処の国も裏では行っている。まあうちみたいに堂々とやっている所は少ないがな。
俺はカシスとこの街では名乗っている。年齢は三十手前とだけ言っておこう。奴隷販売を始めたのは十八の頃で、たまたま奴隷販売の馬車が事故で横転しているのを見つけ、中の奴隷を街まで引っ張っていき売った。そしたらたまたまどっかの大物政治家の娘が混じっていたようで、俺は大量の金と、この街での奴隷販売の許可を商人ギルドから貰った。貰った金を元手に、朝入ってくる奴隷をオークションで競り落として、販売するという事を繰り返した。どうやら俺は良い奴隷を見極める力があるらしく、安く買った奴隷がびっくりするような値段で売れる事があった。そうして上手に商売を続ける事数年、俺は街の一等地に家を建てれる程の富豪へとなった。
だが、富豪になったはいいが仕事が忙しくまともに休む暇もない。人を雇う事もあったが、どいつもこいつも質の悪い奴らばかり選んでくる無能だったので全員解雇した。結局信じられるのは俺の眼だけで、一人で忙しく商売を営んでいた。
あの時、あの女に出会うまでは。
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