第16話 朝の時間 枝豆との戦い
「収穫をお手伝いしたら枝豆をいただきました。待って行きたいのですが、ご都合いかがですか?」
年に2度ばかり届く、弟からのショートメール。
前々回は大量の泥付き蓮根。
前回は、新玉ねぎ40キロ。
大量の産みたて卵、泥付きのごぼうをひと抱えいただいたこともある。
頂くたびに、私の住まいは調理室になる。
蓮根は、酢蓮、きんぴら、はさみ揚げ、煮物、蓮根サラダなどに変身した。大量なので、冷凍庫に保存して、少しづつ食した。
新玉ねぎは、サラダ、オニオングラタンスープ、ミネストローネ、大瓶でピクルスを作ったりして消費した。スープは一食分づつ小分けにして冷凍保存。
産みたて卵は、半熟に茹でて、出汁に漬け込んだり、ふわふわのモンサンミッシェル風のオムレツにしたり、マグレブ料理のプリックなんかも作り、なかなかおいしかった。
泥付きの牛蒡は、ささがきにしてアク抜きをして煮物やサラダ、きんぴらにして冷凍し、かなり時間をかけていただいた。
さて、今回は 枝豆だという。
私としては、房の部分がネット袋に入っているものを想像していた。
考えが甘かった。
届いたのは、長さ1メートルくらいの枝の束がふた抱え!絶句してしまった。
途方に暮れながらも、西日の当たる 玄関ポーチの前で作業を始めた。
まずは房を枝から外す作業。
ショパコンの一次予備予選を聴きながら、紙袋の中へ房をためていった。
何しろ量が多いため、この作業が終わるまでに四人分の演奏が聴けた。
エチュード、ノクターン、バラード、マズルカ‥
休憩時間のたび、ポーランドのコマーシャルが入る。 ショパンのお菓子のCMが出た時には、すでに夕食時であることに気付かされた。(いつか食べてみたくなった)
結果、大きな紙袋一袋の収穫。
枝は丸めて可燃ゴミ袋へ。
この時間になると、かなり涼しい風が吹いているのに気がついた。
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次は、房の端の部分を鋏でカットする作業。
こうすることで、茹で上がった時に、豆を取り出しやすくなる。
テーブルでコツコツと。もちろん、ショパコンの続きを聴きながらの作業。途中で、日本の人の演奏が始まった。
何故か他の人より アップテンポな感じがする。
気のせいか?
あとで、アーカイブを見た時に気づいたのだが、やはりこのプレイヤーは、同じ曲を弾いた他の人に比べて 時間が短かった。
何だかんだで、夜が更けてきた。
寸胴鍋に水を入れ、沸騰するのを待つ間、下処理をした豆に塩をすりこんだ。
因みに、今回使用した塩は、ゲランドの塩である。
以前、モンサンミッシェル風のオムレツを作る時に購入したもので、さっぱりとした後味も良い一品だ。
茹でるのも、何度か分けないと無理そうだ。
今夜は半分だけ茹でて、残りは野菜室へ保管して後日茹でることにした。
とりあえず、茹で上がった豆が冷めた頃、水切りをして房から豆を取り出す作業をした。
つるりと豆が飛び出す。時々、とんでもないところへ跳ねるのはご愛嬌。
それにしても、思いの外手がかかり、終了時は午前様であった。
倒れ込むように眠りについた。
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どんなに遅く眠りについても、同じ時間に目覚めてしまう。
あれ、体が少し痛い。昨日の作業が効いたのか?
腐らせるわけにはいかないので、昨日のうちに作業を済ませたのは正解だったが。これは参った。
今日1日は、湿布を貼って過ごすことにした。
朝食に、昨日茹でた豆も添えた。
程よい塩味。ゲランドの塩のお陰で、新鮮な豆がより引き立つ。
大変だったけど、美味しい!幸せな気分だ。
残りの調理済みの豆を、1番小さいフリーザーバッグに小分けにして。冷凍庫へ収納した。
今日戻ったら、昨日の残りを茹でなくてはならない。
明日は休日。久しぶりにファミリー銭湯でも行こうかと ふと思った。
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次の日、スーパーマーケットで、ネット入りの枝豆が190円ほどで売られていた。
そして、冷凍食品コーナーは行くと、茹でたむき枝豆を冷凍したものも、190円だった。
うちで処理した豆の量は、軽く三十倍くらいあるので、金額に換算すると5000円程度だろうか。
こつこつ消費して行きたい。
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