第3回 ぐだぐだの真骨頂

ぱちん…ぱちん…

寅吉「殿、何してるんですか、さっきから」

寅衛門「ん、爪が伸びたからな、切っている」

寅吉「…爪切りで、ですか?もう化け猫の域ですな」

寅衛門「お前はもう老化で爪の伸びる速度も衰えておるから、伸びる前に擦り減ってちょうどいいな」

寅吉「たしかにそれは否定しませんが、最近、乾燥のせいか爪が割れやすくて」

寅衛門「ああ、あるな、それ」

寅吉「マニキュア塗っております」

寅衛門「…あ?」

寅吉「駅前のスナック鯖の骨に最近入ってきた芳江ちゃんが塗ってくれたんですわ、ほれ」

寅衛門「…うわあ、真っ赤なマニキュアつけた年寄りの虎猫というビジュアル的なカオスがここに」

寅吉「どうです、羨ましいでしょう」

寅衛門「で、『千鳥』の反省会だが」

寅吉「何ですか急に。反省などあの作者はしておらんでしょう」

寅衛門「形だけでも、反省は必要だ」

寅吉「ほんと上っ面ですなあ」

寅衛門「『千鳥』1話目でそっ閉じ読者が多い問題だが」

寅吉「ああ、作者、それで良いといっておりましたよ」

寅衛門「なぜだ」

寅吉「レーティングぎりぎり場面が2話目の最後、そこまで読み進めた豪の者ならばよもや通報しないだろう、という打算だそうです」

寅衛門「3万字以上読んだ上で、だからな」

寅吉「そこまで読んだら、その先まで静かに読んでいただけるでしょう」

寅衛門「ある意味、あの文字量が防護壁になっている、ということか」

寅吉「はあ、それより最近、作者、気になることがあるらしいです」

寅衛門「またどんな下らんことを気にしているんだ」

寅吉「『千鳥』、主人公二人の年齢が17歳と23歳なんですわ」

寅衛門「ん?ああ、作中で年を取っているのか」

寅吉「"数え"ですからな、現代にすると16歳と22歳」

寅衛門「そうなのか」

寅吉「はい。で、この年齢差は現代にすると高校2年生と新卒1年目の高校教員に該当すると」

寅衛門「ちょっと待て。気にするって、どういう方向で何を気にしているんだ、あいつ」

寅吉「新しい世界が開けた!とかいっております、あの作者。煩悩全開です」

寅衛門「つい先日、同じ年齢差(男子高生と教員♂)で条例違反の逮捕例が出たばかりじゃないか!」

寅吉「そうなんですわ。煩悩全開もいいんですが、これ、レーティング事案なんですかのう?と」

寅衛門「それが作者の気にしていることか」

寅吉「はい」

ぱちん…ぱちん…

寅吉「あの、殿?」

寅衛門「…どーでもいいわ、知らんわそんなん。儂は爪を切る」

ぱちん…ぱちん…

寅吉「あの、殿」

寅衛門「なんだ」

ぱちん…ぱちん…

寅吉「次、ワシにも貸してください」

寅衛門「ん」

寅吉「ありがとうございます」

ぱちん…ぱちん…

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