蕾、開く
冬野さくら
第1話
校舎から少し離れた場所に用務員さんのいる離れがある。普段は用務員さんしか訪れない、その離れの横にある小さなスペースには花が溢れていた。
造られた花壇とは違って、散りばめたように咲き乱れる野花。
ここは、私のお気に入りの場所だ。
以前の用務員さんが休憩時間の癒やしとして、手入れをしながら利用していた場所で、何百人といる生徒の中で知っているのは僅かだろう。
そしてその僅かの中で、興味を持って頻繁に訪れるのは私だけかもしれない。
今の用務員さんもこの場所を気に入り、個人的に管理をしてくれる事になった時は、本当に嬉しかった。
可愛らしい猫足のベンチと、好きなように咲き誇る野花や草木。ここだけを切り取ると、まるで外国にいるような気持ちになる。
私の心が落ち着く場所。
最近この場所を訪れる生徒が、一人増えた。
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