13話



 実技テストが終わり、次はいよいよ筆記試験になった。


 ちなみに、あの後も龍真クンは無自覚暴走して、ボクは安定の二番手に収まった。

 これで筆記試験が全部0点だとしても蒼炎サンと同じクラス確定だろう。


(だから、筆記試験は出来ないってことにしよっかなぁ〜。……うん、それがいい)


 ヒトってのは誰しも、欠点があるものらしいからね。

 昔、あの人が言ってた。






 クラスルームとは違う教室に連れられ、ボクたちはそこに出席番号順に座らされた。


 へえ、ここで筆記試験をやるんだね。

 クラスルームよりも数倍広い教室。ここに学年全員が押し込まれているようだ。

 って言っても、そこまでぎゅうぎゅうって訳じゃなく、寧ろ広いくらいなんだけどね。


「今から筆記試験を始めます。不正は勿論、不正と見える行動も全て取り締まるので、気をつけるようにしてください」


 試験監督がマイクで生徒に注意を促す。


 いやぁ〜、キビシイねぇ。

 でも、いや、だからこその優秀な学園なのか。


 試験監督は険しい顔で教室内を見渡し、他の職員に目配せをする。

 その職員達が試験用紙を配るようだ。


 なんだかワクワクしてきたな。こんなにも緩く緊張した空間は初めてだ。

 だっていつもの緊張感は生死の関わる命懸けの緊張だったのに、ここといえばたった紙ペラ数枚分の緊張感なんだもんね?


 あぁ、ダメダメ。

 ここで笑うと変だよねぇ。


 さて、今は手元に来たこの紙に意識を集中させないといけないね。




 ────「試験を開始してください」


 試験監督の合図で、一斉にペンの走る音がし始める。

 よぉし、ボクもやろっと!


 ボクは問題用紙をパッと見る。


(んん? なんていうか……簡単だなぁ)


 うっかり “一般人は知らないハズ ”の回答も書いてしまいそうだ。


(まぁ、ちょうどいい。馬鹿キャラも通せそうだし、ここは空白だらけでいいよね)


 特に簡単そうなものだけ書いて、あとは空白にした。

 でもそれじゃ暇なので、問題用紙に目を通してみる。


(最初から最後まで問題なく簡単、と)


 こういうのを見ると、ボクたちがどれだけスパルタ指導を受けていたかよく分かるね。

 アソコでは、教わったことを少しでも忘れていたらお仕置きをされていたからね。







─────『あ”あ”あ”ぁぁあ”あ”っっ!! いだいいだい、いだいよぉっ! たすけて、誰かっ誰かぁっ……!!!』






 ……ああもう、うるさいなぁ。もう過ぎたことだってのに。


 んん……それにしても暇だなぁ。

 それじゃ、寝るかぁ。


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