8-2
魔族が攻めてきた。その数百万人。
魔族百万人対人間五万人の戦いだ。
「イージニー」
「はい」
「魔族百万だ。これは、魔族の主力が攻めてきたと考えた方がいいんじゃないか」
「ええ。これを守りきれば、戦争の終結が見えてくると思います。これをしのぎ切りましょう」
「鉄壁の我が城に籠るか。死力を尽くした総力戦になりそうだな。敵の数はこちらの二十倍だ」
「がんばりましょう」
クラップとイージニーの相談が終わると、百万の魔族の軍からひとりが進み出た。
「我は魔族グラズナ。ボロックの大将クラップと一騎打ちで勝負したい」
それを聞いて、クラップは首を振った。
「おれはそんな安い命じゃないんだ。他をあたってくれ」
「覚えておけ。ボロックの総大将クラップは勝負を臆して断った。」
「いわせておけ」
メイビーが助言する。
「誰か、おれの代わりに一騎打ちを受けるものはいるか」
クラップがいうと、名のりでたものがいた。
「おれは、自分こそがボロック最強だと自負するものである。司令官クラップに代わって、魔族との一騎打ちを受けたい」
「よし、やってくれ」
「おれの名前は、ポイズナー」
そして、ポイズナーとグラズナの一騎打ちが始まった。
何度も斬り合う二人だが、やがて、一刀が入り、魔族のグラズナが斬り勝った。
一騎打ちは魔族の勝ちとなった。
「気にするな。十人で囲んで倒せ」
クラップが指示を出すと、メイビーが手近な者を九人連れて、魔族グラズナを囲んで倒してしまった。
「この一騎打ち、魔族グラズナの勝ちだったと歴史に刻まれるだろう」
魔族グラズナはそう叫んで死んだ。
メイビーたちはすぐに城内に引き返し、そして、魔族百万人が防衛拠点ボロックを攻めてきた。
魔族の巨人兵が二十万人いて、どごんどごんと城壁を叩く。だが、ボロックの城壁はなかなか壊れない。
聖なる城ボロックの兵士たちは、守る側が有利になるように作られたいくつもの地形を利用して戦った。高いところから弓矢や砲弾を打ち続ける。同じように、落石で攻撃する。狭い通りを抜ける壁の向こうで大勢で迎え撃つ。
魔族百万人をこの城で防ぎきるしかない。
戦いは、一か月つづいた。ボロックの兵たちは交替で眠って戦った。
巨人兵20万人を打ち倒すと、魔族の残党は逃げていった。籠城戦に勝利したのだ。
勝った。
防衛拠点ボロックは、魔族の軍百万人の攻撃を防ぎきった。ボロックの兵五万人のうち、半数以上が死んだ。
多くの死者を出しながらも、彼らのがんばりによって、人類の最終防衛拠点ボロックは守られた。
戦いが終わると、初心者の女兵士が仲間になった。戦いなれたクラップたちが技を教えてやると、ものすごく喜んだ。
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