第2話
私は児島照美。いわゆる事故物件のプロなのである。事故物件公示サイトといわれる不動産屋が告知するのを嫌がる事故や事件のあった物件を一般人に可視化するホームページを作り、今も管理運営をしている。そして今日もその調査の一環で、事故物件住んだろか芸人と呼ばれている梅原ヤマシさんとその二人で番組をやっているディレクターのセバスチャン木村氏の3人である関東の物件に来たところなのであった。
「いやーなかなか雰囲気あるところやね、照美さん?」
「そう感じますねぇ、しかし雰囲気ではなく具体的にどうなっているのかを調査することが私の目的なんで。」
「あいかわらず言うことだけはまじめっすね~まあ気楽に行くっすよ~」
以前殺人、自殺、事故、病死などあらゆる死因で人が亡くなったこのマンションの一室はもう数年間買い手がつかない、というより不動産屋ですらここはヤバいと感じたのだろうか?
「ではわたくしはここで待機しておりますのでくれぐれもお気を付けください。」
もう一般には紹介していないという……玄関からしてまだ昼間だというのに不気味ではあるのだが、それは序の口。本当に危険で管理会社の社員ですら近づきたがろうとしないのはそこからまっすぐ行って突き当りにある6畳一間の和室にある仏壇だという……。
「ほーう、ここやね!」
「はい。」
「じゃあちょっと開けてみますか?」
「え、さっき管理会社の方、なんべんも言うてたやん、開けたらアウトやゆーて!!」
そう! 管理会社いわくこのここで遺体が発見されたときのことなのだがすべてこの和室で死体や血痕などは一切検出されていなかったにもかかわらずなぜかこの仏壇が開いていたのである。そのためかこの仏壇を開けばそこにいたものは必ず間もなく死ぬのだともっぱらのうわさなのだという。
「まあまあ、入ってすぐそんなことをするのは開かないと約束した手前、まずいですしとりあえず一通り調べるまではそのままにしておきましょう!」
「照美さんビビってるん?」
「そういうわけではありませんよ。」
「まあお楽しみは最後に取っておくってのも良いっすね!」
そういうことで私は最初から呪いなど信じていないため不動産としてこの物件がどれだけ価値があるかということについてだけ調べるためトイレやふろ場、キッチンなどの基本的な間取りを見て写真に収めていたときだった。
びゅぅうううううううううううううううううううううん!!
突然、大きな風が吹いたと思うとドォンと大きな音がした。高層階だったためか風で窓が叩かれた音だと思って気にも留めなかったのだが、ヤマシさんが言った。
「あかんあかん、やばいってこれ!!」
その音の出所は和室の仏壇……そう、アレが開いていたのだったのである……。
事故物件から始まる異世界忌憚 ニート @pointinline
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